離婚方法

 
①本当に闘う準備ができましたか?
※民法770条1項1号~5号を主張し証明する準備はできましたか?
※相手方のしてくるであろう主張に対して、反論・証明できる準備は出来ていますか?
※財産分与(共有財産・実質的共有財産・特有財産)を明確に示す準備はできましたか?
最後にもう一度、すべての資料を最終確認してください!! 
相手に話をした時点で相手は動きますから、これが最後の確認となります。
漏れがないかを最後に確認してください。

②協議離婚するか、調停や訴訟で争うのか決めましたか? 
協議離婚するときは、夫婦間に生まれた未成年の子についての親権者の指定と養育費、婚姻中に作られた夫婦の共同財産を清算する方法などについて、夫婦が話し合いによって整理し、そこで決めた内容を離婚 公正証書など契約書に定めることが行われます。
離婚に関する各条件を公正証書に定めるときは、個々の条件を明確にします。
財産分与・年金分割・親権・養育費・面会交流等について公正証書作成の書面の下書きを作成しましょう。

私が浮気調査でクライアントとホテルに突撃する場合(X-DAY)をする中で、双方の合意を頂き、協議の場に立ち会うことがあります。その時は、双方の話し合いを合意書として作成します。

内容として、
① 不貞の事実確認
② 子の親権と離婚の合意 
③ 面会交流
④ 養育費
⑤ 特別出費(甲が子の傷病による入院、小、中、高、大学への入学等その他の事由により、子のために特別の出費をしたときは、乙は甲の請求に応じ甲乙協議の上、その費用を支払う。)
⑥ 慰謝料
⑦ 財産分与
⑧ 年金分割
⑨ 清算条項 等をまとめて合意書面として作成します。
(この行為は、非弁行為ととられる恐れがあるため、双方の合意を頂いたうえで、公平な話し合いが取れない場合は行いません。) 

家事調停や不貞の相手方に対する損害賠償請求の場合は地方裁判所での裁判となるため弁護士を選任することをお勧めします。

離婚の一連の流れは、クリックして表をご覧ください。

弁護士の選任方法


 本当に難しいのが、弁護士の選任方法です。
過去、私も弁護士探しは本当に苦労しました。 
家事事案や民事事件を経験したことがない弁護士はないとは思いますが、専門分野外の弁護士は、それなりの対応しかできません。 

医師なら、内科・外科・小児科・整形外科・耳鼻咽喉科等々専門分野に分かれていますが、弁護士のホームページを見ると家事・民事・刑事・企業法務・交通等々並べれる限り並べられており本当にどの分野でも可能と思いがちなのですが、私が多くの事件で相手方の弁護士の戦略を見ている限り、本当に弁護士ですか?という方も多いです。 
その中でシッカリと相談者の話を聞き、的確なアドバイスや戦略を明確に打ち出してくれる弁護士がいい弁護士だと思います。 

依頼者様の事案の95%を当社の顧問弁護士が代理人として選任しています。
当社顧問弁護士の場合、依頼者様が様々な場面での連携が出来ているので安心できますし、適当な処理をされることはありません。私が法律に詳しくなり、依頼者様に少しでも結意義な結果を出せるのも、いい弁護士との出合があったからこそだと思います。

調停・審判

家事調停については、夫婦関係調整調停(離婚・円満)をはじめとして婚姻費用分担請求(請求額の決定・減額・増額)等々様々な内容に応じて相手方と話し合いをするものです。
調停委員には、弁護士・

夫婦関係調整調停(離婚) 離婚やそれに伴う財産分与,慰謝料,親権者の指定,年金分割の割合などについて話し合う手続
夫婦関係調整調停(円満) 夫婦の関係を元の円満な関係に戻すために話し合う手続
内縁関係調整調停 内縁関係にある男女関係について解消することなどについて話し合う手続
婚姻費用の分担請求調停 夫婦の間で,生活費について話し合う手続
財産分与請求調停 離婚に伴う財産分与について話し合う手続(離婚後の場合)
年金分割の割合を定める調停 離婚に伴う年金分割の分割割合について話し合う手続(離婚後の場合)
慰謝料請求調停 不貞の夫(妻)の相手方に対する慰謝料について話し合う手続
離婚後の紛争調整調停 離婚後に生じた紛争について話し合うための手続
協議離婚無効確認調停 協議離婚届を勝手に出された場合に,これを回復するための手続

1 家事調停について
(1)家事調停とは
家事調停とは、家庭内の事件について、裁判官及び調停委員により構成される調停委員会が、紛争当事者双方の言い分を聞き、仲介・あっせんをすることにより、紛争当事者による自主的解決を図ろうとする制度です。

(2)対象事件
家事審判法は、「家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件については調停を行う。」と規定しています(家事審判法17条)。
婚姻費用の分担、養育費の請求、財産分与、親権者の指定・変更、婚姻無効、離婚、相続回復請求権等については、紛争当事者間の話合いにより、解決することが適する事件であり、家事調停手続を利用することができます。

(3)利用方法
家事調停を利用しようと考えている者は、家庭裁判所に家事調停の申立をすることになります。申立書を作成して紛争を管轄する家庭裁判所に提出することになります。

(4)取り下げ
家事調停は、調停調書の成立等により家事調停手続が終了するまでの間であれば、家事調停を申立てた者は自由に家事調停の申立の取り下げをすることができます。

(5)相談場所
家事調停に関して気軽に相談できる場所として、各家庭裁判所に家事相談室が設けてあります。したがって、家事調停の申立書の記載方法等の形式的な相談から、そもそも家事調停の申立をするべきであるか等の相談まで、上記家事相談室に相談することができます。
また、弁護士会等が設けている無料法律相談等を利用して、家事調停に関して相談することもできます。

(6)調停前置主義

(ア)家事審判法上の規定
家事審判法は、家事調停を行うことができる事件について「訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立をしなければならない。」と規定しています(家事審判法18条1項)。したがって、家事調停の対象事件については、訴訟を提起する前に家事調停の申立を行う必要があります。この制度を調停前置主義といいます。

(イ)例外
調停前置主義の例外として、紛争の相手方が行方不明、従前の経緯からして当事者間の話合いによる解決の見込みがない等の事情がある場合で、訴訟の提起を受けた裁判所が事件を調停に付することを適用でないと認めるときは、裁判所はそのまま事件について審理をすることができます。

2 家事調停の申立
(1)申立方法
家事審判規則は、「調停事件は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄とする。」と規定しています。
よって、基本的には相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に家事調停を申立てることになります。
もっとも、紛争当事者間で家事調停を申立てる裁判所について合意をしている場合には、その合意の内容に従った家庭裁判所に申立てることができます。
また、事件の種類によっては、相手方の住所地以外を管轄する家庭裁判所に申立てる必要があります
したがって、事件を申立てるべき家庭裁判所については、近くの家庭裁判所の家事相談室や弁護士に相談することが望ましいと思われます。

(2)申立書の記載事項
(ア)申立書の記載事項
家事調停の申立書には、下記(A)から(F)までの事項を記載する必要があります。

(A)当事者の表示
申立人及び相手方の氏名・住所を記載します。また代理人が申し立てる場合には、その代理人の氏名・住所を記載します。
さらに、申立人又はその代理人は、押印を要します。

(B)作成年月日
家事調停の申立をする日付を記載します。

(C)裁判所の表示
家事調停を申立てる裁判所を記載します。

(D)申立の実情
紛争の経緯等について記載します。

(E)申立の趣旨

申立人が、紛争において、望んでいる解決を記載します。

(F)事件の種類
遺産分割、離婚等、対象事件の種類を記載します。

(イ)申立書の記載例
代表的な家事調停の申立書の記載例としては、当ガイドの「調停の書式・文例」をご覧下さい。

(ウ)申立書の入手場所
家事調停の申立書は、各家庭裁判所に用意してあります。

(3)提出書類

(ア)添付書類
家事調停の申立の際には、申立書の他に、事件の実情を明らかにする証拠書類の提出が必要となります。

(イ)証拠書類
事件の実情を明らかにする証拠書類がある場合には、その原本又は写しを申立書と共に提出することになります。
もっとも、申立書と同時に提出することができない場合でも、後日、証拠書類のみを提出することができます。
必要となる証拠書類については、各家庭裁判所の家事相談室又は弁護士等に相談して下さい。

(4)申立費用
(ア)費用
家事調停の申立に際しては、手数料と郵便切手の費用がかかります。

(イ)手数料
手数料は、収入印紙で支払うことになります。
手数料の額は、一律1200円です。

(ウ)郵便切手
郵便切手は、紛争当事者に関係書類を送るため等に使用されます。
郵便切手の金額は、相手方の人数や事件の種類などによって異なるため、具体的な金額については、各家庭裁判所の家事相談室に相談して下さい。

3 家事調停の出頭等
(1)期日変更の可否
重要な用事のため、指定された期日に家事調停に出頭することができない場合には、期日変更申請書を作成し、それを家庭裁判所に提出することになります。
そして、調停委員会が、家事調停の期日の変更がやむを得ない場合であると判断したときには、期日は変更されます。
期日変更申請書の作成及び提出については、紛争の担当の裁判所書記官又は各家庭裁判所の家事相談室に相談して下さい。

(2)代理人による出頭の可否
家事調停においては、原則として、紛争の当事者が出頭すべきものですが、やむを得ない事由により、家事調停の期日に出頭することができない場合には、家庭裁判所の許可を受けて、代わりの者に出頭させることができます。やむを得ない事由としては、紛争当事者の病気、近親者の重病、葬式等が当たります。
代わりに出頭してもらう人としては、本来は弁護士がなることが望ましいのですが、紛争当事者の配偶者、兄弟等でも可能です。

(3)出頭が困難な場合
(ア)家事審判規則の規定
家事審判規則は、「調停委員会は、事件の実情によって、家庭裁判所外の適当な場所で調停をすることができる。」と規定しています(家事審判規則132条)。
車椅子での生活に加えて、裁判所が紛争当事者の自宅から非常に遠くにある等の事情がある場合には、家庭裁判所以外で調停を行うことが調停委員会により認められる可能性は高いと思われます。

(イ)「事件の実情」

「事件の実情」とは、ケースバイケースですが、家庭裁判所から遠い地域に複数の紛争関係者がいる場合、当事者が病気のため裁判所に出頭することが困難である場合等が当たると思われます。

(ウ)「適当な場所」
「適当な場所」とは、ケースバイケースですが、一方当事者の自宅、公民館等の公的施設などで家事調停が行われることがあります。

4 申立後の手続き等
(1)手続の概要
(ア)紛争当事者間の話合い
家事調停においても、民事調停と同様に、紛争当事者間で紛争に関しての話合いを進め、紛争の解決を図ります。
この話合いで、紛争が解決した場合には、その時点で家事調停は終了します。

(イ)各種調査
紛争の解決のために、専門家の判断を要する場合には、調停委員会が、官庁・公署に対して資料や調査を依頼することがあります。

(ウ)調停案
調停委員会は、紛争当事者の各々の言い分を聞き、紛争について十分に把握できた時には、多くの場合、紛争の適切な解決案として調停案を作成して当事者に示します。
そして、当事者がその調停案に合意した場合には、調停調書が作成され、家事調停は終了します。
一方、当事者がその調停案で合意に至らないときには、調停案の修正を図り、再度当事者に示します。もっとも、紛争当事者間に合意の見込みがないような場合には、家事調停は不成立となり、家事調停は終了します。

(2)当事者間の話合方式
家事調停の当事者間には、感情的対立が激しく、相手方を目の前にしては冷静に話合いをすることができない場合が多々あります。
そのため、調停委員会は、初めは、申立人から紛争に関する言い分を聞き、その間、相手方は待合室で待っていることになります(待合室も当事者ごとに分かれています)。
そして、調停委員会は申立人の言い分を聞き終わると、次に、もう一方当事者の言い分を聞くことになります。
以上のように、家事調停においては、基本的には、紛争の相手方を目の前にして話合いをすることはなく、各々調停委員会に言い分を話すという、話合いの方式が採られています。

(3)調停開始の日時
家事調停の申立がなされると、その紛争に関しての調停委員会が組織されます(原則として、裁判官1名と家事調停委員2名から構成されます)。
この調停委員会が、家事調停を行う日を決定し、紛争の当事者それぞれに、紛争当事者の氏名、調停が行われる期日・場所、出頭義務が記載された調停期日呼出状を送付します。
したがって、家事調停は、この調停期日呼出状に記載された日時に行われます。

(4)要する日数
家事調停は、約1か月に1回のペースで行われます。
そして、家事調停を2回程度行うことにより約7割の紛争が終了し、6回程度行うことにより約9割が終了しています。したがって、通常、家事調停は、2か月から6か月の間で終了しています。

(5)公開の有無
家事調停に関する法律は、「家事調停はこれを公開しない。」と規定しています。
上記規定は、家事調停の申立から終了までの手続が公開されないことだけではなく、家事調停の記録も、第三者に公開されないことを意味します。
したがって、家事調停は、家事調停に関わりのない第三者には一切公開されません。

(6)第三者が調停に立ち会える場合
家事調停に関する法律は、家庭裁判所は、「相当であると認める者の傍聴を許すことができる。」と規定しています。
「相当であると認める者」とは、ケースバイケースになりますが、家事調停に非常に密接に関係している者、当事者の精神的な支えである者等が当たります。
したがって、当事者である息子が冷静に話し合いを行うために、両親の存在が必要であるような場合には、家庭裁判所より、両親の家事調停への立会が許される可能性があります。

(7)当時者死亡後の手続
家事調停の当事者が死亡した場合には、原則として、手続は当然に終了します。
もっとも、一定の事件に関しては、相続人申請をすることにより、調停手続を続行させることができます。
詳しくは、家事相談室又は弁護士等に相談して下さい。

5調停手続きの終了
(1)効果
(ア)家事調停の成立
紛争に関して、当事者間の話合いがまとまると、その内容の調停調書が作成されます。この調書には、原則として、後から不服を唱えることはできません。
この調書には、確定した判決と同様の効力があり、当事者の一方が、調停の内容に従わない場合には、その内容を実現するため、強制執行を申し立てることができます。
強制執行とは、一定の義務を負っている者がその義務に従わない場合に、国の権力によって強制的にその義務を実現させるための制度のことをいいます。
また、家事調停手続においては、調停で定められた義務を相手方が守らない場合に、家庭裁判所が相手方に対して義務の履行の勧告・命令をする制度があります。

(イ)調停調書
調停調書は、家庭裁判所に調停調書交付の請求書を提出することにより受け取ることができます。
調停調書交付の請求書の記載方法等については、紛争の担当の裁判所書記官、家庭裁判所の家事相談室等に相談して下さい。

(2)相手方が調停で定められた事項を守らない場合

(ア)強制執行
家事調停が成立し作成された調停調書には、確定した判決と同様の効力があり、当事者の一方が、調停の内容に従わない場合には、その内容を実現するため、強制執行を申し立てることができます。
強制執行とは、一定の義務を負っている者がその義務に従わない場合に、国の権力によって強制的にその義務を実現させるための制度のことをいいます。

(イ)履行の勧告・命令制度
家事調停においては、調停で定められた義務を相手が守らない場合に、家庭裁判所が相手方に対して義務の履行を勧告する制度があります。
また、調停調書の内容が、金銭の支払いその他の財産上の給付を目的とする義務の履行である場合において、相手方がその義務を守らない場合に、家庭裁判所が相手方に対して、相当の期限を定めて、その義務の履行を命令する制度もあります。
履行の勧告・命令制度は、家庭裁判所に対して履行勧告の申立をすることにより利用することができます。
履行命令制度には、相手方が、家庭裁判所より履行命令を受けたのにもかかわらず、正当な理由なくその履行命令に従わなかった場合には、相手方は10万円以下の過料に処せられます。

(ウ)不成立後の手続(婚姻費用の分担、遺産分割、財産分与等の乙類事件)
家事審判法は、婚姻費用の分担、遺産分割、財産分与等の乙類事件について、「調停が成立しない場合には、調停の申立の時に、審判の申立があったものとみなす。」と規定しています(家事審判法26条1項)。
したがって、乙類事件に関する家事調停が不成立に終わった場合には、自動的に事件に関する審判手続が開始されます。
事件の種類が乙類事件であるか明らかでない場合には、家庭裁判所の家事相談室又は弁護士等に相談して下さい。

(エ)不成立後の手続(夫婦間の離婚問題、婚姻外の男女間の問題等の一般調停事件)
夫婦間の離婚問題、婚姻外の男女間の問題等の一般調停事件に関する家事調停が、当事者間の話合いがまとまらず不成立となった場合には、原則として、家事調停手続は終了します。
例外的に、家庭裁判所が相当であると認める場合には、当事者の申立の趣旨に反しない限度で、事件に関して審判をする場合があります。この審判は、調停に代わる審判と呼ばれています。
調停が不成立となり、審判に移行しなかった場合で、紛争について解決を望む場合には、訴訟を提起する必要があります。
事件の種類が一般調停事件であるか明らかでない場合には、家庭裁判所の家事相談室又は弁護士等に相談して下さい。

6家事調停に代わる審判とは
(1)調停に代わる審判とは
家事審判法は、「家庭裁判所は、調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当該調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴き、当事者双方のため衡平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、その他必要な審判をすることができる。」と規定しています(家事審判法24条1項)。すなわち、調停に代わる審判とは、家庭裁判所が相当であると認めるときに、当事者の申立の趣旨に反しない限度で、事件に関して審判をする制度のことです。

(2)対象事件
調停に代わる審判は、家事調停の対象事件が、婚姻費用の分担、遺産分割、財産分与等の乙類事件の場合には行われず、夫婦間の離婚問題、婚姻外の男女間の問題等の一般調停事件の場合に限り行われます。

(3)異議の申立
調停に代わる審判に異議のある当事者は、2週間以内に家庭裁判所に対し異議を申し立てることにより、この審判は効力を失います。

(4)効力
調停に代わる審判がなされ、当事者が2週間以内に異議を申立てなかった場合には、この審判は確定判決と同様の効力を有します。
したがって、当事者の一方が、調停に代わる審判の内容に従わない場合には、その内容を実現するため、強制執行を申し立てることができます。
強制執行とは、一定の義務を負っている者がその義務に従わない場合に、国の権力によって強制的にその義務を実現させるための制度のことをいいます。

7 家事調停委員とは
法律は、「家事調停委員は、弁護士となる資格を有する者、・・・家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者の中から、最高裁判所が任命する。ただし、特に必要がある場合においては、年齢四十年以上七十年未満の者であることを要しない。」と規定しています(民事調停委員及び家事調停委員規則1条)。
したがって、家事調停委員とは、いわゆる有識者である民間人の中から選任された者です。
具体的には、専門的知識経験を有している者として、弁護士、大学の教授、元公務員等が、豊富な社会生活経験を有している者として、定年後のサラリーマン、主婦等が家事調停委員として選任されています。

8 第三者の参加
(1)法律上の規定
家事審判規則は、「調停の結果について利害関係を有する者は、家庭裁判所の許可を受けて、調停手続に参加することができる。」と規定しています。
したがって、家事調停の結果に利害関係を有している者であれば、家庭裁判所の許可を受けることにより、家事調停に参加することができます。

(2)利害関係
「利害関係」には、調停の結果について、直接的又は間接的に法律上の利害関係を有する場合のみならず、直接的又は間接的に事実上の利害関係を有する場合も含まれます。

(3)強制参加
家事審判法は、「家庭裁判所は、相当と認めるときは、調停の結果について利害関係を有する者を調停手続に参加させることができる。」と規定しています(家事審判法12条、20条)。
したがって、自ら家事調停への参加を望んでいない場合であっても、家庭裁判所より、家事調停に参加するよう命じられることもあります。

9 罰則等
(1)罰則の種類
家事審判法は、下記(ア)及び(イ)の場合に罰則を科しています。
(ア)家事調停の呼出しを受けたのにもかかわらず、裁判所に出頭しない場合

(イ)履行命令に違反した場合
したがって、家事調停の当事者となった場合で、(イ)家事調停の呼出し、及び(ロ)履行命令に違反したときには、原則として罰則が科せられます。

(2)呼出に応じない場合
家事審判法上の規定
(ア)家事審判法上の規定
家事審判法は、「家庭裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、これを5万円以下の過料に処する。」と規定しています(家事審判法27条)。
したがって、家事調停に「正当な事由」なく出頭しなかった場合には、5万円以下の過料を科せられる可能性があります。

(イ)「正当な事由」
上記(イ)の「正当な事由」が認められる場合は、ケースバイケースになりますが、重病であり裁判所に出頭できる状態でない場合等は「正当な事由」が認められますが、単に多忙である等では「正当な事由」は認められません。

(3)履行命令に違反した場合
(ア)家事審判法条の規定
家事審判法は、「当事者又は参加人が正当な事由がなく、履行命令に従わないときは、家庭裁判所は、10万円以下の過料に処する。」と規定しています(家事審判法28条1項)。
したがって、家庭裁判所の履行命令に違反した場合には、10万円以下の過料を科せられる可能性があります。

(イ)「正当な事由」
上記(イ)の「正当な事由」が認められるか否かは、ケースバイケースになりますが、客観的に見て履行命令に違反することが、やむを得ないと認められる場合には、「正当な事由」が認められます。
もっとも、上記正当な事由が認められることは非常に稀なケースに限られます。

(4)家事調停委員による秘密保持
(ア)家事審判法上の規定
家事審判法は、「家事調停委員又はこれらの職に在った者が正当な事由なくその職務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しています(家事審判法31条)。
すなわち、家事審判法は、家事調停委員に対する罰則を設けることにより、家事調停手続において話した個人の秘密が外部に漏れることを防止しています。
また、家事調停委員は、家庭裁判所より適切な人材として選定された者であることからしても、家事調停で話した秘密が、家事調停委員より外部に漏れることは基本的にありません。

(イ)家事調停委員が人の秘密を漏らした場合
上記(ア)の規定にもかかわらず、家事調停委員が紛争当事者の秘密を外部に漏らした場合には、その被害者は、秘密を漏らした家事調停委員に対して、民事責任、場合によっては刑事責任を追及することができます。