最低限必要な法律用語をまとめてみました。
相談や面談中、アフターの中で私だけでなく弁護士が使う最低限の法律用語と意味を簡単にまとめてみました。
それは私や弁護士が説明する中で普段使用している言葉なのですが、一般の方からしたら意味の分からない言葉でサラッと流されがちになるのを防止することを目的として作成しています。見慣れない・聞きなれない言葉もあるかもしれませんが、しっかりと理解して下さい。分からないことは自分でも調べてみたり、聞いてくださいね。
あ
慰謝料(いしゃりょう)
相手方の不法行為が原因で,精神的あるいは肉体的に苦痛を被った場合,これを償うものとして払われる損害賠償金を「慰謝料」と言います。慰謝料を請求できる主なものとしては,配偶者の不貞,暴力などがあげられます。事案によっては財産分与において同時に清算されることもあります。※相手方を癒し慰めるお金です。
親子関係不存在確認(おやこかんけいふそんざいかくにん)
婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子供は,夫婦間の子供として戸籍に記載 されますが,夫が長期の海外出張,受刑,別居等で子の母と性的交渉がなかった場合など,妻が夫の子供を妊娠する可能性が無いことが客観的に明白である場合 には,夫の子であるとの推定を受けないことになるので,そのような場合には,家庭裁判所に親子関係不存在確認調停の申立てをすることができます。
か
家事調停(かじちょうてい)離婚や婚姻費用といった家庭の紛争や、遺産分割といった相続の紛争を解決するために設けられた裁判所における話し合い。当事者または代理人が出頭し、家庭裁判所で行われます。調停員と呼ばれる裁判所の方が中立的な立場で話し合いを聞きます。
家事審判 (かじしんぱん)調停が不成立となった家事事件の一部または一部の家事事件において、裁判官の判断を仰ぐ手続き。審判の結果を用いて強制執行を行うこともできます。
家事裁判(かじしんぱん)調停が不成立となった家事事件の一部について、裁判官の判断を求める手続き。日本の手続きでは調停を飛ばして裁判を提起することはできません(これを調停前置主義といいます)。
家庭裁判所(かていさいばんしょ)
家庭に関する事件や相続に関する事件、少年事件を扱う裁判所。一般民事や刑事を取り合うかう地方裁判所とは異なります。
家裁調査官 (かさいちょうさかん)面会交流や親権などといった、主に子どもに関する紛争について、裁判所の立場から調査を行う専門官。児童心理の分析などに長け、裁判官などに対し判断の助言を行います。
間接強制(かんせつきょうせい)間接強制とは,債務を履行しない義務者に対し,一定の期間内に履行しなければその責務とは別に間接強制金を課すことを警告した決定をすることで義務者に心理的圧迫を加え,自発的な履行を促すものです。
監護権(かんごけん)
監護権とは,未成年者を監護する義務,権利のこと。離婚後,親権者でなく監護者が子どもと暮らす場合もあります。 親権には,子の財産を管理する権利義務と,子の監護教育を行う権利義務とが含まれ,親権を行使する人を「親権者」と呼びます。特別な事情がある場合には,後者の監護教育の権利義務のみを切り離して,これを行使する「監護者」を指定することがあります。
強制執行(きょうせいしっこう)養育費等を任意に支払わない当事者に対し,審判や調停調書に基づいて給料等を差し押えることによって,強制的に支払を得る方法です。
強制認知(きょうせいにんち)
非嫡出子(婚姻していない男女の間の子)が出生したとき,父親が認知すると父と子の間に法律上の親子関係が発生し,扶養や相続といった権利義務が生じます。認知は父親が届け出ることによって戸籍に記載されますが,父親が届出を拒否した場合には,裁判により強制的に認めさせることができます。この裁判による認知を強制認知といいます。
協議離婚(きょうぎりこん)
協議離婚は,夫婦の協議で離婚する場合で,市町村役場に離婚届が受理されたときに成立します。日本の離婚の90%近くを占めています。子に未成年者がいる場合は,親権者を決めて届出をする必要があります。
仮差押え (かりさしおさえ)訴えを起こしても、裁判で判決が出るまでには時間がかかりますから、その間に相手方の財産が使われてしまったり、隠されてしまったりすることがあり得ます。そうすると、相手方の財産に強制執行をすることができず、裁判に勝った意味がなくなってしまいます。仮差押えとは、訴えを起こす前に、相手の財産を仮に差し押さえて、裁判に勝ったときに備えておく制度です。
強制執行 (きょうせいしっこう)裁判に勝訴して判決をもらったり、裁判上の和解をしたりしても、すぐに権利が実現するわけではありません。相手が自発的に債務を履行しない場合には、改めて裁判所に申立てをして、相手の財産を差し押さえてそこから強制的に回収するという手続をとることになります。これを強制執行と言います。強制執行の申立てには、裁判に勝訴したときに出る判決書や和解の際に作成される和解調書等の債務名義が必要です。
公正証書 (こうせいしょうしょ)公正証書というのは、裁判手続を回避して直ちに強制執行することできるという強力な効果を持った文書です。例えば、協議離婚の際に、夫婦で公証役場に行って、養育費の支払について、公証人に公正証書という文書を作ってもらうと、養育費の支払が滞った場合、裁判を起こさなくても直ちに強制執行の申立てをして、養育費を手にすることができます。
合意管轄(ごういかんかつ)調停は,相手方が住んでいる家庭裁判所で行われるのが原則ですが,双方の同意があれば別の家庭裁判所で行うことができます。この双方の合意のことを合意管轄と言います。
管轄合意書を別の家庭裁判所に提出します。
子の氏の変更(このうじのへんこう)子が,父又は母と氏を異にする場合には,その子は,家庭裁判所の許可を得て, 父又は母の氏を称することができます。
例えば,父母が離婚し,父の戸籍にあって父の氏を称している子が,母の戸籍に移り母の氏を称したいときには,この申立てをして,家庭裁判所の許可を得る必要があります
この手続は,法定代理人が行い,子が15歳以上のときは本人が申立てをします。
婚姻費用(こんいんひよう)/婚費(こんぴ)婚姻費用とは,結婚して夫婦が生活をする上でかかる,さまざまな費用を言います。衣食住の費用,医療費,交際費の他に,子の教育費等の一切の費用が含まれます。夫婦はその資産,収入その他の一切の事情を考慮して,婚姻してから生ずる費用を分担する義務があります。
婚氏続称(こんしぞくしょう)離婚したら,通常は婚姻によって姓が変わっていた者は旧姓に戻ることになります。婚姻姓を継続して使用したい場合は,「離婚の際に称していた氏を称する届」(略称:婚氏続称届)を離婚後3ヶ月以内に役所に届け出ることによって,婚姻姓をそのまま継続して使用することができます。
さ
財産分与(ざいさんぶんよ)
財産分与とは,夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を,離婚するに際にまたは離婚後2年以内に分けることをいいます。対象となる財産は,婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産であるならばすべて含まれ,名義のいかんにかかわらず清算されます。夫婦の一方が婚姻前から所有していた財産,相続・贈与等により取得した財産は清算の対象になりません。
裁判上の離婚原因(さいばんじょうのりこんげんいん)裁判などで離婚を求めることのできる一定の事由(不貞行為,悪意の遺棄,3年以上の生死不明,回復の見込みのない強度の精神病,その他婚姻を継続し難い重大な事由)のことで,民法により法定されています。
裁判離婚(さいばんりこん)離婚において,話合いによる協議ではまとまらず,またその後の家庭裁判所で行われる調停でも解決しなかった場合の最後の解決手段として家庭裁判所に離婚の裁判を起こし,離婚を認める判決を得ることを裁判離婚といいます。
算定表 (さんていひょう)婚姻費用や養育費を定める場合、裁判所が作成した計算表。夫と妻の年収から金額を導きます。ただし、法律ではないため、これに沿わない金額に決まることもあります。また、近年見直しが提言されており、日弁連も独自の算定表を作成しています。
小額訴訟 (しょうがくそしょう)60万円以下の金銭の支払を求める訴えについては、原則として1回で審理を終える手続で、通常の訴訟に比べて簡易で迅速な解決を図ることができます。審理は、基本的には、裁判官と共に丸いテーブル(ラウンドテーブル)に着席する形式で進められます。ただし、被告の希望等により、通常の訴訟手続に移行することがあります。
消費者契約法(しょうひしゃけいやくほう)悪徳商法などの被害から消費者を守るために、作られた新しい法律です。消費者契約法は、消費者と事業者の間で結ばれるすべての契約を対象に、従来定められていなかったのない新たな契約取消事由が定めています。
例えば、次のような事由があるときは、消費者は契約を取消すことができます。
※重要な事項について事実と異なる説明を受けた
※将来における不確実な事項について断定的に告げられた(「絶対に儲かる」と言われた)
※消費者に不利になる事項をわざと告げなかった
※契約を結ぶと言うまで帰らせてもらえなかた
支払督促 (しはらいとくそく)金銭の支払や有価証券その他の代替物の引渡を求める場合に、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申立てを行うと、書類の審査だけで裁判で判決を受けたのと同様の効果を得ることができる制度です。裁判所に出向く必要がなく、書類の提出だけで、強制執行を行うことができる簡単な手続です。ただし、相手方から異議が出された場合には、通常の訴訟を行うことになります。
準拠法(じゅんきょほう)渉外家事事件の処理に当たっては,まず,日本の家庭裁判所に裁判管轄権があるか否かを判断します。それが認められた場合には,さらにどこの国の法律を適用すべきかを決定する必要があります。それを準拠法といいます。
渉外家事事件(しょうがいかじじけん)渉外家事事件とは,当事者の国籍,住居,常居所,居所や婚姻挙行地等の行為地,出生地等の事実の発生地,相続財産所在地等,具体的問題となっている事件に関係する諸要素が複数の国に関係がある家事事件をいいます。
書記官(しょきかん)書記官は,事件に関する記録等の作成及び保管並びに裁判官の行う法令や判例の調査の補助といった仕事をしています。当事者への電話や手紙による連絡も書記官の重要な役割です。
親権(しんけん)親権とは,父母がその未成年の子に対して持つ,(1)子供の成長のための養育・教育・監護をする権利義務(2)子供の財産を管理する権利義務の総称です。親権は,両親が共同で行使しますが,離婚をする際には必ず一方を親権者に決めなければなりません。
人事訴訟(じんじそしょう)夫婦,親子等の関係についての争いを解決する訴訟を,「人事訴訟」といいます。
人事訴訟のうち,代表的なものは離婚訴訟です。離婚訴訟では,未成年者の子どもがいる場合は,親権者の指定をするとともに,財産分与,慰謝料,年金分割,養育費などについても家庭裁判所で同時に決めてほしいと申し立てることができます。
審判官(しんぱんかん)
旧法(家事審判法)では,家庭裁判所において,家事調停等を取り扱う裁判官のことを家事審判官と呼んでいましたが,新法(家事事件手続法)では,裁判官に統一されました。
成年後見(せいねんこうけん)
成年後見制度とは,認知症,知的障がい,精神障がいなどによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。成年後見制度には,本人の判断能力によって,後見,保佐,補助の類型があります。
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嫡出子(ちゃくしゅつし)婚姻中又は離婚後300日以内に生まれた子は,嫡出子となります。
調査官(ちょうさかん)家庭裁判所調査官は,家庭裁判所で取り扱っている家事事件,少年事件などについて,専門的な立場から調査等を行うのが主な仕事です。家事事件では,紛争の当事者の親の紛争のさなかに置かれている子どもに面接をして,問題の原因や背景を調査し,必要に応じ社会福祉や医療などの関係機関との連絡や調整などを行いながら当事者や子にとって最もよいと思われる解決方法を検討し,裁判官に報告します。この報告に基づいて裁判官は事件の適切な解決に向けて審判や調停を進めていきます。
調停委員会(ちょうていいいんかい)調停事件については,裁判官一人と一般市民から選ばれた調停委員二人以上で構成される調停委員会が,当事者双方から事情を尋ねたり,意見を聴いたりして,双方が納得の上で問題解決できるように,助言やあっせんをします。
調停期日(ちょうていきじつ)調停が行われる日にちのことです。次回の調停が行われる日を次回期日などと言います。
調停条項(ちょうていじょうこう)調停において申立人と相手方が話合いの末,合意に達した場合,その合意内容を条項にします。それを調停条項といいます。
調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)離婚をはじめ人事訴訟の裁判を提起する場合には,原則として家庭裁判所に調停の申立てを行います。これを調停前置主義といいます。
調停調書(ちょうていちょうしょ)申立人,相手方双方が合意に達した内容を文書にして残したものを調停調書といいます。この調停調書は確定判決と同じ効力を持っていますので,守らない相手に対しては,強制執行を申し立てることもできます。
調停の成立(ちょうていのせいりつ)申立人,相手方の双方が話し合って納得し合意が得られ,これが調停委員会においても妥当であると認められて,調停条項として調書に記載されたとき,調停が成立したことになります。
調停の不成立(ちょうていのふせいりつ)調停を何回重ねても一方が全く話合いに応じないような場合や双方の意見が対立し平行線のままで合意する見込みがないような場合には,調停不成立となり ます。
調停離婚(ちょうていりこん)話合いによる協議では相手方と解決に至らなかった場合,家庭裁判所へ夫婦関係調整調停の申し立てを行うことができます。調停委員会が当事者双方から事情を聴いて合意に達すれば,調停離婚となります。
DV防止法(ディーブイぼうしほう)「ドメスティック・バイオレンス(DV)」とは,一般的に「夫婦や恋人など親密な関係にある,またはあった一方から他方に対して振るわれる暴力」をいいます。肉体的なものだけでなく,言葉や性的,社会的,経済的暴力,物の破壊なども含まれています。
正式には「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律」といいます。申し立てを受けた地方裁判所は,自宅からの退去命令や,接近禁止命令などの保護命令を出すことができるようになっています。
特別受益(とくべつじゅえき)遺産分割の調停で出てくる用語です。共同相続人の中に被相続人から遺贈を受けたり,生前に特別な贈与を受けた者がいる場合,これらの相続人が他の相続人と同じ相続分を相続すると不公平な結果になります。そこで,これらの遺贈や贈与などが特別受益に該当すると判断された場合には,特別な受益を調整して分割します。
な
年金分割手続 (ねんきんぶんかつてつづき)離婚時において、一定の条件下で双方の受領する年金を原則として等分にできる制度。年金の種類や加入期間等によって手続の内容が異なります。
内容証明郵便 (ないようしょうめいゆうびん)差出人が同じ文書を3通作成して、1通を相手に、1通を手元に残して、1通を郵便局が保存します。内容証明郵便を利用すると、文書の内容と郵便を出した年月日を総務省が証明してくれます。日付が重要な通知には、後々、内容証明郵便を利用しておけば、これを証拠として使うことができます。
また、配達証明制度を利用すると、相手に配達された年月日も証明してもらえます。
277条審判 (277じょうしんぱん)家事審判法第277条に規定されている「合意に相当する審判」のことです。婚姻の無効又は取り消しや親子関係の存否,嫡出否認など,当事者間に合意が成立しその原因の有無に争いがない場合には,家庭裁判所は,必要な事項を調整した上,調停委員の意見を聴き,正当と認める時は,合意に相当する審判をします。
任意認知 (にんいにんち)父が任意に嫡出でない子を認知することです。戸籍法の定めで各市町村の役場に届け出ることになっています。また遺言による認知も認められています。その際は遺言執行者が認知届を提出することになります。
認知 (にんち)
婚姻していない男女間に生まれた子は,父が認知することにより,父子の間に法律上の親子関係が生じ,親子関係に認められるすべての効果が出生のときに遡って発生します。認知には
任意認知と
強制認知があります。
は
非嫡出子(ひちゃくしゅつし)婚姻関係にない男女の間に生まれた子を非嫡出子といいます。
復氏(ふくうじ)
離婚時に、婚姻前に名乗っていた名字に戻ること。原則的に復氏してしまうため、離婚時に婚姻時の名字を名乗りたい場合は手続をする必要があります。
夫婦関係調整(円満)(ふうふかんけいちょうせい えんまん)夫婦関係が円満でなくなった場合に,元の円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場として,家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
調停手続では,当事者双方から事情を聞き,夫婦関係が円満で無くなった原因はどこになるのか,その原因を各当事者がどのように努力して正すようにすれば夫婦関係が改善していくか等,解決案を提示したり,解決の為に必要な助言をする形で進められます。
夫婦関係調整(離婚)(ふうふかんけいちょうせい りこん)離婚について当事者間で話合いをしてもまとまらない場合や離婚の話合い自体ができない場合には,家庭裁判所の調停手続きを利用することができます。
調停手続では,離婚そのものだけでなく,離婚後の子供の親権者を誰にするか,親権者とならない親と子との面会交流をどうするのか,養育費,離婚に際しての財産分与や年金分割,慰謝料についてどうするかといった財産に関する問題も一緒に話し合うことができます。
別表第一事件,第二事件(べっぴょうだいいちじけん,だいにじけん)審判事件は,別表第一事件と別表第二事件に分かれています。
別表第一事件は,後見等開始,失踪宣告,不在者の財産管理,相続の放棄,遺言の検認など当事者らの意思で処分することができない権利,義務に関する事項に関する事件で,家事調停の対象とすることはできません。
別表第二事件は,親権者の変更,養育費の請求,婚姻費用の分担,遺産分割など原則として第一次的には当事者の協議による解決が期待される事項に関する事件であることから,審判によるほか,調停でも扱われます。
ま
面会交流(めんかいこうりゅう)
子どもと離れて暮らしている父または母が定期的に子どもに会って話をしたり,一緒に遊んだり,食事をしたり,メールや手紙をやりとりするなどして交流することを「面会交流」と言います。
モラルハラスメント物理的な暴力ではなく、発言や態度で相手を精神的に傷つける行為。加害者は無意識で行っていることもあります。近年離婚の理由として増加しています。
や
有責配偶者(ゆうせきはいぐうしゃ)不貞行為,暴力行為など,民法上の離婚事由にあたる行為によって婚姻の破綻を招いた配偶者のことを有責配偶者と呼びます。
養育費(よういくひ)子どもが成長するために必要な費用です。父母は離婚しても,子供が成人するまでは,親権や監護権のあるなしにかかわらず,養育費の負担義務があります。
ら
履行勧告(りこうかんこく)家庭裁判所で決めた調停や審判などの取決めを守らない人に対して,履行を促す履行勧告という制度があります。家庭裁判所に対して履行勧告の申出をすると,家庭裁判所では義務者に取り決めを守るように説得したり,勧告したりします。履行勧告の手続に費用はかかりませんが,義務者が勧告に応じない場合に支払を強制する手続きではありません。
離縁 (りえん)養子縁組した子と養子関係を終了すること。例えば連れ子のいる相手方と婚姻し、その連れ子を養子縁組した後に離婚する場合、同時に離縁を行うことがあります。離縁すると親子関係はなくなるため、養育義務や相続は発生しなくなります。
離婚原因 (りこんげんいん)
法律に定められた離婚できる条件。@不貞(不倫)、A悪意の遺棄、B相手方が3年以上生死不明、C強度の精神病に罹患していること、Dその他婚姻を継続しがたい重大な事由の5つです。多くの場合、Dにあてはめられます。
わ
和解離婚(わかいりこん)
離婚裁判の中で,和解が成立し調書に記載されると離婚が成立します。和解がで きない場合は,判決を仰ぐことになります。
法律相談でよく使われる用語
立証 (りっしょう)主張を裁判所に認めてもらうために、その裏付け(証拠)を裁判所に提出すること。主張だけでは裁判所は言い分を認めてくれません。この立証が重要になります。よく弁護士が、「立証が少し弱いんです。」などと言うことがあるかもしれません。それは証明がもう少しできないと、言い分が認められないという意味を含んでいます。
主張 (しゅちょう)自分や相手が、裁判所に認めてほしい考え。これを書類に書くと準備書面という名前になります。裁判などの当事者の言い分になりますので、相手方が出してくる準備書面の一字一句にあまり熱くなる必要はありません。主張とは敵対する一方当事者による一方的な(勝手な)言い分に過ぎないのです。一番大事なのは、その主張が、証拠によって裏付けられるか否かということです。
書証 (しょしょう)書証とは、文書に記載された意味内容により事実を証明する証拠になります。証拠のうち、書類の証拠などをいいます。例えば契約書や領収書、預金通帳などです。特に署名押印のある書証や、紛争の当事者以外の第三者が作成した書証は、裁判所が事実を判断する上で重要視します。
人証 (じんしょう)証拠のうち、人間の証拠、つまり人が語る供述などを言います。例えば証人が法廷で証言をする場合、当事者(原告や被告)本人が尋問で語った内容という場合もあります。書証と同様に重要な証拠ではありますが、記憶違いや立場により事実に反する供述を行うという危険性もあります。
物証 (ぶっしょう)証拠のうち、書類以外の物の証拠をいいます。例えば写真や監視カメラの映像、録音データなどです。客観的な証拠ですので、信用性が高い証拠といえます。よく刑事ドラマなどで、「状況証拠じゃなく、何とか物証を探せないのか?」というセリフを聞かれることもあると思います。物証があると、ある意味、動かぬ証拠ということになり、それに反する言い分は非常に厳しいものになります。