
ご家族が突然いなくなる相談は本当に多いのですが、ここで言葉を混同すると、警察への届け出の仕方も、裁判所での進め方もズレます。
一般に、家庭・保護者に断りなく家を出ることを指す“日常語”です。
ただし、警察実務では「家出人」という言い方をする場面も残っていますが、今は広く「行方不明者」として整理されます。
これも日常語で、「どこにいるか分からない状態」全般を指して使われがちです。
法律用語としての「失踪」には、のちほど説明する**失踪宣告(7年/危難は1年など)**という別の制度があり、ここを混同すると危険です。
ほぼ完全に日常語です。借金・不倫・職場トラブルなどで「突然いなくなった」ことをこう呼ぶ人が多い。
ただ、言葉が強い分、相談者が「事件性がある」と思い込みやすいので、私はまず “いつ・どこで・最後に誰が・何を確認したか” を事実で整理します(感情より事実)。
実務ではこれが一番重要です。
警察に届け出るときの入口も、裁判所が“所在不明”を判断するときも、ここが基準になります。警察は「行方不明者届」等で整理し、状況に応じて対応が変わります。
同じ“いない”でも、警察が動ける範囲は一律ではありません。
典型は、成人が自分の意思で姿を消した可能性が高い場合です。
この場合、警察は届出を受理してデータ登録はするものの、事件性・危険性が薄いと、積極的な捜査は難しくなりがちです(本人の意思やプライバシーの問題も絡む)。
ここははっきり言います。危険がある・事件性がある・自力で安全を確保できないと判断されると、対応は変わります。
例えば、幼児・高齢者・病気・認知症・自殺のおそれ・事故巻き込まれ・誘拐や犯罪被害のおそれ等。警察実務でも、こうした類型を区別して扱うことが示されています。
原則、最寄りの警察署(生活安全系の窓口になることが多い)で「行方不明者届」を相談します。
配偶者・親族・監護している人等が基本です(実務上はケースで確認されます)。
私は相談者に、まずこれを紙に書いてもらいます。ここが曖昧だと、後の手続(公示送達の申立て等)でも詰みます。
最後に連絡が取れた日時・方法(電話/LINE/メール等)
最後に目撃した日時・場所・同居の有無
服装・持ち物・所持金・クレカ・通帳・スマホの有無
車両情報(ナンバー等)
身体的特徴(傷痕・手術痕・持病・服薬)
交友関係・よく行く場所・勤務先情報
自殺念慮・DV被害・ストーカー被害など危険要素
最新の写真(これがないと話にならないことがある)
相手が行方不明なら、当然、話し合い(協議)で離婚届を出すことはできません。
では裁判所はどうなるか。
生きているのか、亡くなっているのか、そのどちらも確認できない状態が“3年以上”続いている場合、離婚原因になり得ます。
いつから音信が途絶えたか(最後の接触時点)
その後、誰が・どんな手段で・どこまで探したか
住民票/戸籍の附票/郵便・訪問・勤務先確認など、所在不明を裏付ける事情があるか
ここを曖昧にすると、裁判所は簡単には公示送達を認めません。
「いないんです」だけでは足りない。**“探した経過の証拠”**が必要になります。
ここ、間違える方が多いので釘を刺します。
失踪宣告:戸籍上も“死亡扱い”に近づく制度で、原則7年(危難失踪は1年など)という枠組み。
770条1項3号:死亡扱いにする話ではなく、**離婚原因として「生死不明が3年以上」**を使う話。
どちらが適切かは、目的(離婚か、相続・身分関係整理か)で変わります。私はここを最初に整理します。
離婚は原則として「まず調停」が基本(調停前置)ですが、相手が行方不明で協議ができない場合などは、例外として調停を経ずに訴訟提起が認められる場面がある、と整理されます。
(※実務上は裁判所の運用・事案の事情で動き方が変わるので、ここは専門家と詰めるべきポイントです。)
相手の住所等が分からず、通常の送達(郵送など)ができないときに、裁判所が掲示板への掲示等で「送ったものとして扱う」制度です。
公示送達は乱用できません。
裁判所に「本当に所在が分からない」「相当探した」という裏付けが必要になります。
私は相談者に、最低限次をそろえる意識を持ってもらいます。
住民票や戸籍の附票で追える範囲を追った記録
最終住所へ行ったが不在だった事情(現地確認のメモ・写真・管理会社確認など)
勤務先・親族・知人への照会(可能な範囲で)
警察への届出受理番号、相談経過
民事訴訟法は、公示送達ができる場合(例:住所等が知れない)を定め、掲示による方法と、一定期間経過で効力が生じる仕組みを置いています。
相手が行方不明でも、離婚訴訟の枠組み自体は「人事訴訟」です。
離婚そのものだけでなく、未成年の子がいれば親権、養育費、財産分与、慰謝料など、付随して争点が出ます。
ただし、相手が出てこない事件では、こちらが“言いたい放題”になるわけではありません。
裁判所は、こちらの主張が筋が通っているか、証拠があるかを見ます。
だから私は、行方不明案件ほど、最初に言います。
「感情ではなく、事実と記録で積み上げましょう。
どこで何が起き、いつから途絶え、何を試し、何が確認できなかったのか。
ここが揃わないと、前に進みません。」
“失踪・蒸発”という言葉で判断しない。判断基準は「危険性」「事件性」「自力で安全確保できるか」。
警察届出の受理番号と、探した経過の記録は必ず残す(あとで公示送達・離婚原因の立証で効いてくる)。
770条3号(3年生死不明)と失踪宣告(7年等)を混同しない。目的が違う。
行方不明での離婚は、「相手がいないから簡単」ではなく、逆に“手続要件が重い”。だから最初から筋道を作る。
(探偵平松が、実務目線で説明します)
ご家族が突然いなくなる。
この相談は、当社にも毎年のように入ってきます。しかも、この問題は、本人が見つからない限り、家族の生活が止まってしまいます。離婚の問題、子どもの生活、住宅ローン、生活費、相続や保険、職場への説明、親族間の揉め事……どれも現実です。
ここで最初に大事なことを言います。
「言葉を間違えると、手続も判断も間違える」ということです。
世の中では「失踪」「家出」「蒸発」「行方不明」が似た言葉として使われますが、これを混ぜて考えると、警察への届け出の仕方も、裁判所での進め方も、全部ズレます。だから私は、相談の最初に必ず言葉を整理します。
「家出」
一般的に「家出」と言うと、子どもや若者が、親や保護者に断りなく家を出て行くことを指します。
ただ、実務上の相談では、成人でも「家出した」と表現されることが多い。ここがまず混乱の入口です。成人の場合は「本人の意思で出た可能性」が高く見られやすいので、警察の動き方も変わることがあります。
「失踪」
「失踪」は、居場所や足取りが分からない状態を指して使われることが多い言葉です。
ただし、後で説明しますが、法律の世界には「失踪宣告」という制度もあります。
この「日常語の失踪」と「法律制度としての失踪」を混ぜると、判断を誤ります。
「蒸発」
「蒸発」という言葉は、突然連絡が途絶え、生活の痕跡が消えるようにいなくなる状態を指して使われがちです。借金、勤務先トラブル、不倫、家庭内の問題など、背景があることも多い。
ただし、蒸発という言葉は刺激が強い分、家族が「事件だ」「犯罪だ」と早合点しやすい。私はそこを一度止めて、まず事実を確認します。
最後に連絡が取れた日時、最後に確認できた場所、本人の持ち物、金銭の動き、交友関係。ここからです。
「行方不明」
実務では、ここが一番重要です。
災害・事件・事故・自殺・本人意思による離脱など、理由は様々ですが、とにかく「連絡が取れず、所在や移動が分からない状態」をまとめて捉えるときに使います。
警察へ届け出るときも、裁判所で「所在不明」を扱うときも、この「行方不明」という整理が一番現実に合います。
行方不明になったとき、家族は「警察に行けばすぐ探してくれる」と思いがちです。
しかし、現実は違います。
警察は、状況によって対応が変わります。
「本人が自分の意思で出た可能性が高い」のか、
「事故・事件・自殺など危険がある」のか、
「幼児・高齢者・病人など自力で身の安全を確保できない」のか。
この見立てで、警察の動き方は大きく変わります。
だから私は、届出の前に、家族が整理すべきことを明確にします。
ここは言い方が難しくなりがちですが、噛み砕きます。
(1)成人で「本人意思の可能性が高い」場合
成人が自分の意思で出て行った可能性が高い場合、警察は「民事」の色合いが強いものとして扱うことが多く、積極的な捜査が難しくなることがあります。
届出をしても、すぐに大規模捜索になるとは限りません。
ここで誤解してほしくないのは、「受理しない」わけではないということです。
届出は受理され、登録されます。
ただし、本人が成人で「帰りたくない」「連絡したくない」と意思表示した場合、家族の希望どおりに身柄を確保して連れ戻す、ということは基本的にできません。
本人の意思やプライバシーの壁があるからです。
(2)危険性・事件性が強い場合(特異な事情がある場合)
一方で、幼児・高齢者・病人・精神的に不安定な方など「自力で安全を確保できない」場合、また事故や事件に巻き込まれた可能性、自殺のおそれ、誘拐などが疑われる場合は、対応が変わります。
危険性が高いと判断されれば、捜索活動が本格化することがあります。
だからこそ、家族は「不安」だけで話すのではなく、危険の根拠をきちんと伝える必要があります。
「遺書のようなものがあった」
「家を出る直前の言動が明らかに異常だった」
「持病があり、薬がないと危険」
「暴力被害・ストーカー被害があった」
こうした事実があるなら、必ず整理して伝えてください。
届出は、最寄りの警察署へ行きます。
窓口は状況によりますが、生活安全系の窓口に繋がることが多いです。
届出できるのは、一般に、保護者・配偶者・親族・監護している人などです。
ここで、私が依頼者に必ず言うことがあります。
「感情ではなく、事実を紙に書いて持っていってください」
口頭だけだと、必ず漏れます。
警察で聞かれやすい項目は、概ね次のとおりです。
届出人の氏名、住所、本人との関係
行方不明者の氏名、性別、生年月日、本籍、住所、職業
身長体重、身体的特徴(傷痕・手術痕・持病・服薬)
最後に確認した日時と場所
連絡が途絶えた時点と状況
動機として思い当たる事情
服装、持ち物、所持金
使用した車両(ナンバー等)
携帯番号、SNS、連絡先
交友関係、よく行く場所
精神状態、薬物、既往歴など(危険に直結する情報)
必要なものとしては、写真は最重要です。印鑑も求められることがあります。
また、受理番号などが出る場合は、必ず控えてください。後で、裁判所の手続にも関わることがあります。
こからが本題です。
相手が行方不明だと、当然ですが協議はできません。
離婚届に署名押印もできません。
つまり、通常の「協議離婚」という形は取れません。
ではどうするか。
裁判所の手続を使うことになります。
ただし、ここも誤解が多い。
「相手がいないなら簡単に離婚できる」と思う方がいますが、私は逆だと思っています。
相手がいない事件ほど、裁判所は慎重です。
なぜなら、相手の反論を聞けないからです。
だからこそ、こちら側が事実を積み上げて説明しなければ前に進みません。
この条文は、簡単に言えばこうです。
生きているのか、亡くなっているのか、どちらも分からない状態が3年以上続いている場合、離婚の訴えができる。
ポイントは「生死が明らかでない」です。
単に連絡が取れないだけでは足りない場合があります。
行方不明の状態が「生死不明」にまで至っているか。ここが重要です。
そして「3年」の起算点は、基本的に最後に音信が途絶えた時点を起点に考えます。
だから私は、ここを必ず確定します。
最後に電話が繋がったのはいつか
最後にLINEが既読になったのはいつか
最後に目撃したのはいつか
最後に口座やカードが動いたのはいつか
ここは、感覚ではなく、記録です。
ここは本当に混同されます。
770条1項3号は「離婚の原因」の話
失踪宣告は「法律上、死亡扱いに近い状態を作る」制度の話
目的が違うので、選択も変わります。
離婚を成立させたいのか。相続や身分関係を整理したいのか。
私は相談者の状況を見て、ここを整理します。
相手がどこにいるか分からない。住所も分からない。
この状態で訴訟を起こすために出てくるのが「公示送達」です。
公示送達というのは、簡単に言えば、裁判所が「相手に書類を渡せない」場合に、裁判所の掲示などによって、一定期間が経過したら「送ったものとして扱う」制度です。
ただし、公示送達は、誰でも簡単に使えるものではありません。
裁判所は必ずこう見ます。
「本当に所在が分からないのか」
「調べるべきことを調べたのか」
「わざと隠していないか」
だから、ここで必要なのは「探した経過」です。
私は実務上、少なくとも次のような材料が整っていないと厳しいと思っています。
住民票や戸籍の附票など、公的に追える範囲を追った記録
最終住所へ行ったが不在であった事情(現地確認の記録)
関係先への確認の経過(勤務先、親族、知人など可能な範囲で)
警察への届出受理番号、相談経過
生活の痕跡が消えた状況の整理(郵便、家賃、携帯の解約、転居の形跡など)
ここで注意してください。
「やってはいけない調べ方」をしてしまうと、あなたが不利になります。
違法・迷惑行為・プライバシー侵害に踏み込むと、離婚のために動いたのに、別の問題が発生します。
私は、ここは線引きを明確にします。合法の範囲で、記録を積み上げる。それが基本です。
離婚や認知など、夫婦・親子関係の争いを解決する訴訟を「人事訴訟」と言います。
代表例が離婚訴訟です。
離婚訴訟では、離婚が成立するかどうかだけではなく、未成年の子がいるなら、親権、監護、養育費、財産分与、慰謝料などが絡みます。
ただし、相手が行方不明の場合は、争点をどう組み立てるか、証拠をどう揃えるかで、見通しが大きく変わります。
だから私は、行方不明案件ほど「最初に全部を整理する」ように言います。
離婚だけを求めるのか
親権・監護をどうするのか
養育費や財産分与の見込みはあるのか
相手の財産や収入の手掛かりはあるのか
生活をどう立て直すのか
ここを曖昧にすると、手続が進んでも現実が救われません。
行方不明は、時間が経つほど家族が疲弊します。
そして、焦るほど判断を誤ります。
だから私は、相談者にこう伝えています。
言葉を混同しない(家出・失踪・蒸発・行方不明)
警察には感情ではなく、危険性の根拠と事実を整理して届ける
離婚は「相手がいないから簡単」ではない。むしろ要件を積み上げる必要がある
裁判所手続(公示送達)には、探した経過=記録が必要
違法な調査に踏み込むと、あなたが不利になる。合法の範囲で積み上げる
この章は、家族の生活を守るための入口です。
次の章では、私は実務上の経験から、**「生死不明3年」の立証のために、家族が今から作っておくべき記録(時系列メモ・証拠の束ね方)**と、公示送達に向けた準備を、さらに具体的に書きます。
(時系列・記録・安全な探し方/探偵平松の実務)
相手が突然いなくなった。
この時、家族は真っ先に「探さないと」と動きます。気持ちは分かります。私も現場で何度も見てきました。
ただ、ここで一番多い失敗は、焦って動いた結果、証拠が散らかって、後で裁判所に説明できないことです。
もう一つの失敗は、やり方を間違えて、違法・迷惑行為に踏み込み、逆に自分が責められる立場になることです。
だから私は、この章で、まず結論を言います。
生死不明3年や公示送達のために必要なのは、
「気合い」ではなく、
**時系列で積み上がる“記録”**です。
私は行方不明案件で、必ず依頼者にこう言います。
「一枚でいいから、時系列を作ってください」
これが無いと、警察にも、弁護士にも、裁判所にも説明が通りません。
時系列メモに書くべき項目(最低限)
最後に会った日時・場所
最後に連絡が取れた日時(電話/LINE/メール)
最後に確認できた行動(出勤、帰宅、誰と会った、など)
その日の様子(普段と違う点があったか)
失踪前後のトラブル(借金、職場、家庭内、交友、病気)
失踪当日の持ち物(財布、通帳、カード、スマホ、薬、車)
家の中に残っていたもの(衣類、貴重品、パスポート等)
失踪後の痕跡(口座の動き、カード利用、携帯解約、SNS更新など)
ここで重要なのは、「推測」と「事実」を分けることです。
裁判所は、推測より事実を見ます。
推測を書くなら「推測」と明記して、事実と混ぜない。これだけで文章の信用度が変わります。
民法770条1項3号の「3年以上」は、基本的に音信が途絶えた時点が基準になります。
ただ、現実には「最後の連絡はいつか」が曖昧な家族が多い。
だから私は、起算点になり得る候補をすべて拾います。
起算点の候補として拾うべきもの
最後の通話日時(通話履歴)
最後のLINEの送受信・既読の日時(スクリーンショット)
最後のメール日時
最後の目撃日時(家族・職場・知人)
最後の交通利用(IC履歴等が合法に確認できる範囲なら)
最後の金銭の動き(口座・カード)
ここは、後で「実はその後も連絡があっただろう」と反論されやすい部分です。
だから、証拠化できるものは証拠化して、時系列に貼り付けていく。これが鉄則です。
相談者の方は、証拠をバラバラに持っています。
スクショはスマホの中、通帳は机の中、メモは紙切れ、警察の受理番号は忘れている。これだと勝てません。
私が勧めるのは、最初から「証拠ファイル」を作る方法です。
表紙(事件名・本人情報・失踪日)
時系列メモ(最新版)
警察への届出控え(受理番号、相談日時、担当部署)
連絡記録(電話・LINE・メールのスクショ)
金銭・生活痕跡(口座、カード、携帯、家賃、郵便等の記録)
目撃情報・聞き取りメモ(誰が、いつ、どこで、何を見たか)
相手方の基礎情報(住民票・戸籍附票など公的資料)
「探した経過」の記録(いつ、どこへ、どう確認したか)
裁判所が見たいのは、最後の結論ではなく、そこへ至るまでの経過です。
「探したけど見つからない」では弱い。
「いつ、何を、どの範囲で、どう確認したか」を残すことが大事です。
ここは命綱です。
私は探偵だからこそ言います。
違法な手段で集めたものは、あなたを守らない。あなたを壊します。
家族・親族・勤務先への「通常の範囲」での確認
警察への届出・追加情報の提供
病院・福祉関係など、案内に従った照会(可能な範囲)
本人の部屋・自宅内の整理(家族が管理権限を持つ範囲)
SNSなど公開情報の確認(公開範囲内)
他人のアカウントへの不正ログイン(配偶者のスマホでもアウトになり得ます)
位置情報機器・アプリ等での無断追跡(GPS・AirTag・共有アプリの乱用)
名義を偽っての聞き出し、脅し、拡散
勤務先や周辺への過度な詮索・掲示・ばらまき
相手の住所を勝手に特定して押しかける
焦ると人はやります。
でも一度踏み越えると、「離婚したい」から「あなたが責められる」へ立場が逆転します。
私はそこを何度も見てきました。
相手が行方不明のまま訴える場合、出てくるのが公示送達です。
ただ、公示送達は「最後の手段」です。
裁判所は必ず見ます。
本当に住所が分からないのか。
分かる可能性を潰していないか。
探した経過があるか。
だから、公示送達の準備として、家族が整えるべきものはシンプルです。
相手方の住民票または戸籍の附票(最後の住所の確認)
その住所に「いない」ことが分かる事情の記録
例えば現地での状況確認(表札、郵便受け、近隣状況など、やり過ぎない範囲で)
警察への届出受理番号と経過
家族として探した経過のメモ(時系列)
ここで大事なのは、裁判所に「調べ尽くした」と見せるのではありません。
**「適法な範囲で、合理的に確認した」**を積み上げることです。
通常、離婚は調停を経るのが原則です。
でも、相手が所在不明で話し合いが成立しない場合、調停をしても意味が薄いことがあります。
ただし、ここは事件の型によります。
「単に連絡が取れない」だけのケースと、
「生死不明が3年以上」続いているケースでは、重みが違う。
私は実務上、こう整理して説明します。
生死不明3年以上(770条1項3号)に当てはまるなら、訴訟で整理する意味が強い
ただ「所在不明」程度だと、裁判所が慎重になりやすく、準備不足だと止まる
だから私は、次の章で、**“裁判所に出すための文章の形”**に落とし込みます。
つまり、あなたの時系列・証拠を、裁判所が理解できる形に組み替えます。
最後に、現場の人間として、私はここをはっきり言います。
まず安全確保(事件性があるなら最優先)
次に生活の維持(子ども・住居・金銭)
その上で手続(離婚、親権、財産)
手続は大事です。
でも生活が崩れると、人は判断を誤ります。
だから、生活の立て直しと並行で、証拠と記録を積み上げる。これが王道です。
