・日本の性教育の実態(私が現場で痛感していること)

浮気調査の相談の中で、私は必ず「夫婦が破綻しているか否か」を確認します。
その確認の過程で、体感としてですが、セックスレスの方が7割近くいると感じる場面が少なくありません。

「最後に夫婦生活があったのはいつですか?」
そうお伺いすると、**「子どもが生まれた年」**と答える方が多い。これは私が現場で何度も聞いてきた言葉です。

もちろん、夫婦にはいろいろな形があります。
セックスレス=即破綻、と決めつけるつもりはありません。
ただ、相談を深く聞いていくと、レスが長期化する背景には、単なる“夫婦の努力不足”では片づけられない問題があると私は感じています。

たとえば、こういう理由が出てきます。

  • 居住地・住環境の問題(部屋が狭い、子どもと同室、プライバシーがない)

  • 性の不一致(望む頻度、タイミング、価値観、触れ方の違い)

  • 妊娠中や産後の非協力(心身が限界の中で寄り添いがない)

  • 疲労と睡眠不足(生活が回らず心の余白が消える)

  • 会話の消失(性の話題がタブーになり、触れずに年月が過ぎる)

そして私は、ここにもう一つ、非常に大きい要因があると思っています。
それが 「性教育の弱さ」と「家庭内での性教育の不在」 です。


・未熟な学校教育(“教えていない部分”が大きすぎる)

日本の学校教育では、発達段階に応じて、二次性徴、生殖機能、受精・妊娠、性感染症、避妊、結婚生活などが扱われます。
しかし、実務の目線で見ると、私はどうしてもこう感じます。

「教えているようで、核心が抜けている」 と。

なぜなら、夫婦関係のトラブルや性のすれ違いの根っこにあるのは、次のような部分だからです。

  • 同意(相手が望んでいるか/嫌がっていないか)

  • 境界線(NOと言う権利、NOを尊重する態度)

  • 相互尊重(配慮、痛み、体調、心理的安全)

  • 性暴力・強要の線引き(夫婦でも“やってはいけない”ことがある)

  • 情報の見分け方(刺激的な情報=正しい知識ではない)

これらが弱いままだと、子どもたちは「妊娠の仕組み」や「病気の名前」は覚えても、
“現実の人間関係の中で性をどう扱うのか”という最も重要な部分が育ちにくい。

その結果、夫婦になったときに、

  • 話し合えない

  • 断れない/断られると傷つく

  • 相手の事情を理解できない

  • 強い刺激=正解だと勘違いする

こういう問題が起きやすくなります。

私は、夫婦の揉め事の現場にいるからこそ、学校教育の「抜けている部分」が、後々どれだけ大きな代償になるかを痛感しています。


・家庭での性教育がない現状(ここが最も深刻だと私は思う)

もう一つ、私は日本社会の構造として大きいと思っていることがあります。
それは、家庭で性の話をしない家庭が非常に多いという現状です。

本来、性教育は“学校だけ”で完結しません。
むしろ家庭のほうが大切だと私は思っています。理由は簡単で、家庭の性教育は「知識」ではなく「価値観」と「態度」を育てるからです。

  • 自分の体を大切にする

  • 人の体も大切にする

  • 嫌なことは嫌と言っていい

  • 相手が嫌と言ったら止める

  • 触れる前に確認する

  • 恥ずかしいことではなく、尊重の話である

こういう“土台”は、家庭で日常的に身につく部分が大きい。

ところが日本では、性の話がタブー視されがちで、
親世代が「どう伝えればいいかわからない」「触れないほうが安全」と感じ、
結果として “無言”が続く ことが多い。

その“無言”の空白を埋めるのが、次に書く「ネットと本能」になってしまう。
私はここが、非常に危険だと思っています。


・韓国や諸外国との比較(大きく違うのは「同意」「家庭」「早い段階の教育」)

国や文化によって差はあります。
ただ一般論として、韓国や欧米を含む諸外国では、日本よりも「性教育を社会の課題として扱う」傾向が強いと私は感じています。

1)“同意”と“境界線”を早い段階から扱う

諸外国では、性教育が「妊娠の仕組み」だけではなく、
同意・境界線・相互尊重を中心に組み立てられている国が少なくありません。

これは、夫婦問題の観点でも非常に重要です。
なぜなら、夫婦の性トラブルの本質は、結局ここに戻ってくるからです。

  • 相手が望んでいないのに求める

  • 断られることを屈辱と捉える

  • “夫婦だから”と正当化してしまう

  • その結果、心が壊れてレスになる

こういう流れを断ち切る鍵が「同意と尊重」だからです。

2)家庭教育が前提になっている国が多い

海外の友人に聞くと、家庭の中で幼い頃から

  • 体の名前

  • プライベートゾーン

  • 触れて良い・悪い

  • 嫌なら嫌と言う

  • 相手の嫌を尊重する

こうした話を日常的にする家庭が多いと言います。
日本のように「学校任せ」「沈黙が安全」という空気とは、スタート地点が違う。

3)韓国は“教育と社会問題”が直結しやすい

韓国では、性暴力やデジタル性犯罪などの社会問題が大きく取り上げられてきた背景もあり、
性教育が「危険を避ける知識」「同意」「加害・被害の線引き」と結びつきやすいと私は見ています。
日本も同様の課題を抱えているのに、教育が追いついていない――これが現場にいる私の実感です。

私は、外国が完全だと言いたいわけではありません。
ただ、“何を中心に教えているか” の軸が、日本とは違う国が多い。
その差が、夫婦になったときの“話し合える力”に影響しているのではないかと感じます。


・性の勉強は、ネットと本能(空白を埋める情報が危険なことがある)

学校でも家庭でも十分に扱われない。
しかし思春期になれば、情報だけは溢れている。

ネット、動画、雑誌、刺激の強いコンテンツ。
こうしたものが「見本」になってしまうと、性に必要な要素が抜け落ちます。

  • 相手への配慮

  • 同意

  • 安全

  • 妊娠・性感染症の現実

  • 心の傷(人格否定、支配、恐怖)

刺激が強いほど、相手を“人”として扱う視点が薄くなりやすい。
その結果、結婚してからも「求めるだけ」「押し切るだけ」になってしまい、
性の不一致や、場合によっては 強要(DV的要素) に繋がることがある。
私は、ここを決して軽く見ません。

夫婦であっても、同意と尊重がなければ成立しません。
夫婦だから許される、ではありません。


・夫を男として見ない/妻を女として見れない心理(レス固定化の核心)

私は相談で、レスの理由を聞くとき、必ず「心の変化」も確認します。
そして非常に多いのが、次の言葉です。

  • 「夫を男として見られなくなった」

  • 「妻を女として見られなくなった」

これは、どちらか一方が悪いという話ではありません。
人間の心の仕組みとして起きやすい現象です。
ただ、理解しないまま放置すると、夫婦は“感情論”で壊れていきます。

1)恋人→家族への役割変化

生活が始まり、家事があり、仕事があり、子どもが生まれる。
相手は「恋人」よりも「家族」「共同生活の相方」「育児のパートナー」として見える比重が増えます。
その結果、“異性としてのスイッチ”が入りにくくなることがあります。

2)疲労と不満が積み上がると、身体が拒否する

不満、軽視された感覚、孤独、裏切られた感覚。
こうしたものが溜まると、身体が先に拒否反応を出すことがあります。
頭では「夫婦だから」と思っていても、心と身体が「無理」と判断してしまう。
これが固定化すると、レスは長期化します。

3)“母/父”が強くなり、異性として見にくくなる

子ども中心の生活になると、相手は「子の親」として強く見える。
すると心理的に、性的な対象として見にくくなることがあります。
恥ずかしい話ではなく、現実に起きやすい変化です。

4)性の話題を避けるほど誤解が増える

求める側は「拒否された=愛されていない」。
拒否する側は「求められる=自分の事情はどうでもいい」。
このすれ違いが続くと、性の問題は信頼の問題に変わります。
私はここで夫婦が折れていく場面を、何度も見ています。


・SEXがもたらす10の効果・効能(WebMD/ジョイ・デヴィッドソン博士)

健康面の話として整理すると、WebMDでは
ニューヨークの心理学者で、セックスセラピストでもあるジョイ・デヴィッドソン博士(Joy Davidson, PhD) の見解などを踏まえ、性の健康効果についてまとめられている内容があります。

一般に挙げられる項目としては、次のようなものです。

  1. ストレスの軽減、血圧への影響が語られることがある

  2. 免疫に関する指標との関連が示される研究がある

  3. カロリー消費(運動的側面)

  4. 心血管リスクとの関連が議論されることがある

  5. 自尊心や気分への影響が語られることがある

  6. 親密さ(絆)の形成に関係するホルモンの話が出ることがある

  7. 痛みの感じ方が和らぐ可能性が語られることがある

  8. 前立腺がんリスクとの関連が研究されることがある

  9. 骨盤底筋など身体機能面の話が語られることがある

  10. 睡眠の質に影響する可能性が語られることがある

ただし、ここは強く言います。
健康効果を理由に相手に性行為を求めるのは間違いです。
性は“健康法の手段”ではなく、同意と尊重があって初めて成立する「親密さの共有」です。


・この章の結論(私が一番伝えたいこと)

日本では、学校教育が核心まで踏み込めず、家庭でも性の話がしづらい。
その空白を、ネットや刺激的な情報が埋めてしまう。
そして夫婦は生活疲労と対話不足の中で、いつの間にか

  • 夫を男として見ない

  • 妻を女として見れない

という状態に入り、レスが固定化し、
すれ違いが深まった先で、外に逃げる・強要が始まる・破綻が進む――
私はこの流れを現場で何度も見てきました。

だから必要なのは、根性論ではなく、

  • 知識(最低限の性の理解)

  • 対話(私の性/あなたの性)

  • 尊重(同意・境界線・安全)

この3つです。

そして、無理だと判断した場合、危険がある場合、心身が壊れそうな場合は、
専門家や当社に相談してください。そこははっきり言っておきます。



・おすすめリンク


性問題について、私がおすすめするのは、 すずね所長こと二松まゆみ先生。
当社事務所にも二松先生の本・DVDなど沢山ありますが、 

二松まゆみ夫婦仲相談所
恋人・夫婦仲相談所所長。元主婦マーケティング会社経営。日本性科学会会員。ED診療ガイドライン作成委員。
夫婦仲に悩む主婦会員1万3000名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察。講演、マスコミ取材も多く、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍。
著書『モンスターワイフ』『夫婦仲がよくなるちょっとした習慣』『ニッポン男子の下半身が危機的なことに気づいたワタシ』『きっかけさえつかめば3週間で人生が変わる』『40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣』『キョウイクSEX』他多数。
電子書籍『となりの寝室 夫婦の性生活の真実』『夫に言えない妻のセックス裏話』『女の不倫 22人の告白』『セックスする脳!(共著)』など。

お悩みの方は是非一度、読んでみて頂けたらと思います。