・離婚原因 民法770条1項3号 失踪
失踪配偶者が失踪者/家出人し、3年以上その所在が不明の場合、法的な手続きを経て離婚することが出来ます。
・失踪・家出・蒸発・行方不明の違い。
ご家族の方が突然居なくなるというのは、当社にも多く寄せられる相談です。
失踪・家出・蒸発・行方不明とよく似ていますが、全く違うものなので決して間違わないでくださいね。
「家出」
子どもや若者が両親や保護者に断りなく家を出て行くこと。
「失踪」
どこにいるのか居場所・足取りがわからない人。失そう者、失跡者とも。
「蒸発」
突然行方不明になること。失踪。
「行方不明」
災害・事件・その他の理由で、連絡の取れない状態になったり、所在や移動がわからなくなること。
・届出の種類
警察に届出を出す場合、上記にあげた内容と状況について検討した上で下記の違いに気をつけて届出してください。
一般家出人
「一般家出人」とは民事に関する家出人のことを指し、自分の意志で行方不明になったという場合です。
成人が自らの意思で家出したり、借金などの夜逃げなどのケースでの失踪や家出の場合、警察では捜査は行いません。
一般家出人は、基本的には民事の扱いになるため、警察は積極的に介入することができません。
届出後警察のコンピューターに登録し、何らかの形で対象者が職務質問などで照会されるのを待つ以外捜査らしい捜査はしません。 また対象者が成人の場合、本人が帰りたくないというのを無理に家に連れて帰ったり、身柄を拘束することはできないので、本人に「家族が心配しているので連絡を取るように」と促したり、届出を行った人に発見した時の状況を伝えるだけです。
特異失踪者
「特異失踪者」とは幼児・病人・老人など自分の意思で失踪することが考えられない者や、事故に巻き込まれた可能性のある者、 または殺人・誘拐などの事件に関わりのありそうな者や、遺書や日頃の言動から自殺の可能性が考えられる者や、他人の身体・生命等に危害を加える恐れるあるものを指し、このような状況の場合にのみ、
専任の捜査担当者が配置され捜索活動や公開捜査が行われます。
届出方法
最寄りの警察署 生活安全課に行き、捜査願いの届出を出します。
届出を出せる人
保護者/配偶者(夫又は妻)/その他の親族/家出人を現に監護している人
届時に聞かれること
・届け出をする人の氏名、現住所、家出人との続柄
・家出人の氏名、性別、生年月日、本籍地、現住所、職業
・身長、体重 ・身体的な特徴(ケガの痕、手術の痕、ほくろやできもの)
・家出をした日時(最後に見かけた日時)
・家出の原因(思い当たる動機)
・家出をしたときの服装や持ち物、所持金の額
・家出に使用した車両(ナンバー、車体番号、色、年式)
・携帯電話の番号(携帯電話を所持しているとき)
・趣味や好きな食べ物、よく行く場所
・薬物の使用歴、精神病の既往歴など
・交友関係等
必要なもの
写真/印鑑
交付されるもの
届出受理番号
※受理番号は必ずメモしておいて下さい。
・民法770条3に定める離婚について
相手方が行方不明なら、協議することはできませんから、裁判所で手続を行う必要があります。
そして通常、離婚するにはいきなり訴訟を提起するのではなく、調停を経ている必要があります。
しかし行方不明であれば、話し合いは無理ですから、調停をしても意味がありません。
そこで、調停の申し立てをしないで訴訟を提起することができます。
・3年以上生死不明の場合
相手方の生死すら3年以上不明という場合は、民法770条1項3号の「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」にあたるとして、これも調停をしても無意味ですから、調停を経ずに訴訟が提起できます。
なお、3年の起算点は音信消息が最後に途絶えた時点です。
・音信不通の相手への提訴の仕方
訴訟提起の方法
失踪していてどこにいるか分からない相手を訴える為には
「公示送達」という方法があります。
(民事訴訟法110条 下記参照)。
具体的には、訴訟提起の際に一緒に公示送達の申立書のほかに、被告の住民票ないし戸籍の附票、そこには被告はいないということを証明する現地についての調査報告書を提出します。
・公示送達について
公示送達の要件 第110条
次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
一、 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二、 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
三、 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
2 前項の場合において、裁判所は、訴訟の遅滞を避けるため必要があると認めるときは、申立てがないときであっても、裁判所書記官に公示送達をすべきことを命ずることができる。
3 同一の当事者に対する二回目以降の公示送達は、職権でする。ただし、第一項第四号に掲げる場合は、この限りでない
公示送達の方法
第101条 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
公示送達の効力発生の時期
第102条 公示送達は、前条の規定による掲示を始めた日から2週間を経過することによって、その効力を生ずる。
ただし、第110条第3項の公示送達は、掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる。
2 外国においてすべき送達についてした公示送達にあっては、前項の期間は、6週間とする。
3 前二項の期間は、短縮することができない。
公示送達による意思表示の到達
第103条 訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、第百十一条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。この場合においては、民法第九十八条第三項 ただし書の規定を準用する。
・人事訴訟について
1. 人事訴訟とは
離婚や認知など夫婦や親子等の関係についての争いを解決する訴訟を「人事訴訟」と言います。
人事訴訟のうち、代表的なものは離婚訴訟です。離婚訴訟では,未成年の子どもがいる場合に離婚後の親権者を定めるほか、財産分与や子どもの養育費などについても離婚と同時に決めてほしいと申し立てることができます。また、離婚訴訟とともに、離婚に伴う慰謝料を求める訴訟を起こすこともできます。
2. 人事訴訟の手続
夫婦や親子等の関係についての争いは、基本的に話合いにより解決するのが適当であると思われますので、まずは家事調停を申立てていただくことになりますが、家事調停で解決ができない場合には人事訴訟を起こすことになります。
人事訴訟は、民事訴訟の一種ですので基本的には民事訴訟の審理手続と同じ手続で行われますが、家庭裁判所における人事訴訟においては、参与員が審理や和解の試みに立ち会って意見を述べたり、子どもの親権者の指定などについて家庭裁判所調査官が、子どもに面接して調査したりすることがあります。
3. 人事訴訟の管轄(平成16年4月1日以降に新たに人事訴訟を提起する場合)
原則として、当事者(離婚であれば夫又は妻)の住所地を受け持つ家庭裁判所です。
ただし、その家庭裁判所と人事訴訟を起こす前に家事調停を取り扱った家庭裁判所とが違う場合は、家事調停を取り扱った家庭裁判所で人事訴訟を取り扱うこともあります。
4. 人事訴訟の終了等
人事訴訟は、裁判官の判決によって争いを解決するほか、離婚訴訟や離縁訴訟については、和解によって解決することができます。
判決が確定した場合や、離婚訴訟や離縁訴訟について和解が成立した場合には、その内容に応じて戸籍の届出等を行うことが必要です。また、判決や和解が金銭の支払いを目的とするような場合には、その支払を受けることができるようになります。さらに、支払の義務がある人がこれに応じない場合には、地方裁判所で強制執行の手続きをとることもできます。
● 家庭審判申立書
裁判所の書記官は、公示送達の申し立てがあった場合は書類を保管し、裁判所の掲示板に掲示します(同法111条)。掲示開始から2週間(外国に送達すべき場合は6週間)経過した場合、送達の効果が発生します(同法112条)。
● 審判
送達の効果が発生したら第一回期日が指定されます。
第一回期日になるべく結審してもらえるように、訴状の段階で全ての証拠や主張を網羅しておきましょう。
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