○探偵業の業務の適正化に関する法律 (平成十八年法律第六十号)より引用
(定義) 第二条
この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
上記の法文のとおり、探偵業法に基づく業務について説明します。
【素行調査】
素行とは、対象となる人物の隠しだてのない日常の「素」をビデオカメラや音声に記録する事ですが、意外なことに、私が在籍していた警察ではこうした言葉をあまり使いませんでした。そうしたことから言っても、「素行調査」とはれっきとした探偵用語なのです。
ところで、こうした「素行」を「調査」する手段方法として用いられるのが、警察ドラマに登場する「尾行」「聞き込み」「張り込み」といった警察の捜査手法。「素行調査」とは、そうした手法をセットにして対象者の素の姿を密かに記録する事です。
それでは具体例を示す前に、それぞれの意味について掻い摘んで説明しましょう。
・尾行
尾行を文字的にいえば、シッポのあとを行く事。
実務的には、調査対象者の行動を把握するために、その後方から様子を伺い、「いつ」、「どこで」、「誰と」、「どんな風に」接触したかをビデオカメラなどに記録しますが、ここで大切なのは、あくまでも「素行」を調査の目的としていることから、対象者に尾行していることを気付かれないことです。ちなみに、複数の調査員での尾行に際し、敢て対象者の前方を歩くことがありますが、このときの呼び名は「尾前」ではなく、「まとわり」と言います。
・張り込み
張り込みとは、対象者の動向をじっと監視すること。特に、不倫問題に端を発した「不貞の事実」の発掘ともなると、それこそラブホテルの周辺で岩のように動かず一夜を明かす事も。また、閑静な住宅街での張り込みは近隣の目に留まりやすく、張り込み中の刑事が職務質問されたり、時に、110番に通報されることもあります。警察官もジャーナリストも探偵も張り込みの極意は忍耐。景色になじむ事なのです。
【興信調査】
探偵で言うところの興信調査とは、一言でいうと「聞き込み」を主体にする探偵独特の調査活動です。
調査依頼事項に関し、対象者が暮らす(働く)「素」の姿を近隣の方や関係者にお伺いする調査なのですが、警察官やジャーナリスト、取材記者が進んで身分を明かすのに対し、探偵は基本、素性を明かしません。そうした事から探偵は、その場に応じた口述を用意しています。
何れにおいても紳士的な対応を心掛け真実なる答えを引き出すこと。それが探偵の力量です。
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