・法律用語 婚約・結婚

婚約の成立・婚約の効果・婚約の解消・損害賠償・結納の返還・内縁・内縁の成立・内縁の効果・内縁の解消・同棲・婚姻の成立・婚姻届・婚姻適齢・重婚・再婚禁止期間・近親婚・未成年者の婚姻・成年被後見人の婚姻・婚姻の無効・婚姻届の不受理願・戸籍の訂正・婚姻無効確認訴訟・婚姻の取消し不適齢者の婚姻・婚姻の取消し待婚期間違反の婚姻・婚姻の取消し重婚・婚姻の取消し詐欺又は強迫による婚姻・婚姻の取消しの効果・婚姻の効果・夫婦の氏・成年擬制・同居義務・扶助義務

≫婚約の成立
婚約が成立する為には、結納、婚約指輪の交換など慣習的儀式を行うことが必要であると思われがちですが、その方式は問われません。男女の双方に将来夫婦になろうという真面目で確定的な意思があることで婚約は成立します。しかし、男女の一方が婚約の成立を否定した場合には、最終的にはその成否を裁判所で判断してもらうことになります。この場合には、慣習的儀式は、婚約が成立したことの証拠となります。

≫婚約の効果
婚約が成立すると、両者は互いに誠意を持って交際し、婚姻する義務を負います。しかし、一方が後に翻意した場合には、法的に婚姻することを強制することはできません。正当な理由なく婚約を破棄された者は、相手に対して、慰謝料等の損害賠償を請求することにとどまります。

≫婚約の解消
婚約の解消は、当事者の合意、婚姻の成立を不可能にする事由の発生、一方の解消の意思表示によります。当事者の一方から婚約解消の意思表示があった場合には、婚約は当然に解消されて、他方は婚姻を強制することはできません。婚約解消の原因が一方の責に帰すべき事由のあるときは、他方は婚約の破棄によって被った損害の賠償を請求することができます。婚約破棄に正当事由があれば、損害賠償義務は生じません。

≫損害賠償
損害賠償の対象となる損害には、財産的損害と精神的損害(慰謝料)とがあります。財産的損害とは、婚約したことによって支払った費用分や、婚約しなければ得られた利益などの損害に当たります。精神的損害(慰謝料)は、精神的苦痛に対する賠償になります。

≫結納の返還
結納は、婚姻の成立を最終目的とする贈与にあたると一般的には、解されています。婚姻が成立しなかった場合は、結納の原因がなくなり、結納を受領したものは、返還しなければならなくなります。しかし、婚約破棄の責任が結納を交付した者の側にある場合には、結納の返還請求は権利の濫用であり、許されないと解すべきです。

≫内縁
内縁とは、社会的事実として夫婦共同生活をしているにもかかわらず、婚姻の届出をしていないため、法律上の夫婦と認められない男女の関係をいいます。夫婦同然の共同生活をしていても、婚姻の届出をしていない以上法律上の婚姻とは認められません。ただし、今日では、内縁を婚姻に準ずるものとして(準婚関係)、婚姻の規定が準用されています。

≫内縁の成立
内縁が成立するには、当事者の合意と内縁の事実の存在が必要になります。内縁の事実の存在とは、夫婦共同生活であると認められるような共同生活が存在することになります。内縁の法的保護の観点からすると、重婚的内縁には、原則として法的保護は与えられないと解されています。ただし、すでに前の婚姻が事実上破綻していた場合には、法的保護を与えようとする傾向にあります。

≫内縁の効果
内縁の効果として、婚姻の効果の規定のうち、同居・協力・扶助義務の規定、婚姻費用の分担の規定など準用され、貞操の義務も認められます。また、内縁関係に不当に干渉してこれを破綻させた第3者は、損害賠償義務を負います。日常家事債務の規定、夫婦の財産の共有推定の規定は、類推適用されます。

≫内縁の解消
内縁は、当事者の一方的意思によって、いつでも解消することができます。しかし、これによって相手方が損害を被った場合は、財産的給付によって損害を補うとされています。内縁の解消に当たっては、離婚の場合の財産分与請求が認められ、責任のある当事者には、慰謝料を請求することができるとされています。

≫同棲
同棲とは、一時的な男女の共同生活の場合に用いられます。男女の間で将来的に生活を共にする合意があり、社会的事実として夫婦共同生活と認められるような場合には、内縁として法的保護が認められますが、一時的な同棲の場合には、法的保護は受けられません。

≫婚姻の成立
婚姻の成立には、●当事者間に婚姻する合意があることが必要です●法律上定められている婚姻の禁止、制限に該当しないことが必要です●婚姻の届出が必要です。 この3つの要件が必要になります。婚姻の成立に関しては、法律婚主義(婚姻の届出があって初めて婚姻が成立する)が採用されています。他方、伝統的な儀式や事実上の夫婦共同生活によって成立し、届出を必要としないものを事実婚主義といいます。

≫婚姻届
婚姻届は、原則として書面でしても口頭でしてもよいのですが、一般的には、書面でします。当事者は、婚姻届にそれぞれの住所氏名を自署し、捺印し、成年の証人2人に同様に自署と捺印をしてもらい、市区町村役場の戸籍係に提出します。婚姻届は、日曜、祭日でも、執務時間外でも受け付けてくれます。戸籍係は、届出書や戸籍簿などの記載によって形式的に審査する権限を有するだけで、届出書の記載内容が事実に反するか否かまで審査する権限はありません。

≫婚姻適齢
民法では、当事者がいかに結婚する意思があっても、法律上許されない婚姻の禁止、制限の規定を設けています。肉体的にも精神的にも成熟しない者の婚姻を禁ずる為、男は18歳、女は16歳にならないと婚姻できない旨の婚姻適齢の規定があります。

≫重婚
既に配偶者のある者は、重ねて婚姻することはできません。それは、一夫一婦制をわが国が採用しているからです。重婚とは、あくまでも法律上の婚姻が重ねて行われることであり、内縁関係にある者が他の者と婚姻しても重婚にはなりません。

≫再婚禁止期間
女性が再婚する場合には、再婚禁止期間があり、前の婚姻の取消し又は解消の日から6ヶ月経過した後でなければ、再婚することができません。ただし、前の婚姻中に懐胎していたときは、その子を出産後はいつでも再婚できます。これは、子の父親がどちらであるかを確定する為の規定であるとされていますが、今日では、合理性を欠くのではないかとの批判もあります。

≫近親婚
直系血族、または三親等内の傍系血族の間では、婚姻することはできません。直系血族とは、親と子、祖父母と孫にあたります。傍系血族とは、自分と兄弟姉妹などにあたり、三親等の傍系血族とは、自分と叔父伯母、甥姪にあたります。また、直系姻族の間では、姻族関係が終了したとしても婚姻することはできません。また、養子、その配偶者、直系卑属、その配偶者と、養親又はその直系尊属の間では、離縁した後においても婚姻は禁止されます。

≫未成年者の婚姻
男は満18歳、女は満16歳になれば婚姻できます。しかし、未成年者が婚姻する場合は、父母の同意が必要とされています。父母が離婚していても、親権を有していなくても、同意が必要です。ただし、父母の一方が同意しない場合は、他方の同意だけで足りるとされています。実親と養親がいる場合は、養親の同意が必要です。父母が全くいない場合には、同意は不要で、法定代理人の同意も不要です。

≫成年被後見人の婚姻
成年被後見人は、意思能力が回復していない場合は、婚姻することができません。後見人が代理しても婚姻はできません。しかし、成年被後見人が意思能力を回復している時は、単独で婚姻をすることができます。ただし、この場合には、医師の診断書の添付が必要になります。

≫婚姻の無効
婚姻が無効とされるのは、人違いその他の理由によって当事者間に婚姻する意思がないときに限られます。婚姻の意思がない場合として●人違いの場合●当事者の一方又は第三者が婚姻届を偽造した場合●届出のときに当事者が死亡している場合●精神病等で婚姻意思を表示する能力がないにもかかわらず、誤って婚姻届が受理された場合●合意によって婚姻届を作成したが、届出のときまでに翻意して婚姻の意思がなくなったにもかかわらず、婚姻届が提出されてしまった場合 などがあります。

≫婚姻届の不受理願
婚姻届の不受理願とは、無効な婚姻届が受理されるのを未然に防ぐ為に、役場の戸籍係に提出しておく書類になります。戸籍係は、不受理願が提出されると、婚姻届の受理を拒むことができます。ただし、この不受理の期間は6ヶ月に限られます。そのため、6ヶ月よりも長期に不受理を希望する場合には、再度提出する必要があります。

≫戸籍の訂正
婚姻が無効であるにもかかわらず、婚姻届が受理されてしまった場合には、戸籍の訂正をする必要があります。当事者の死亡など戸籍簿から無効が明白な場合には、家庭裁判所の審判によって戸籍を訂正することができるとされています。

≫婚姻無効確認訴訟
婚姻が無効であるにもかかわらず、婚姻届が受理されてしまった場合で、戸籍簿上、無効が明白でない場合には、婚姻無効確認訴訟によらなければなりません。人事訴訟にあたりますので、調停前置主義が採用され、まずは家庭裁判所に調停を申し立てることが必要になります。

≫婚姻の取消し不適齢者の婚姻
婚姻の取消し事由としては、不適齢者、重婚、近親者、待婚期間中の婚姻及び詐欺又は強迫による婚姻が規定されています。不適齢者の婚姻は、不適齢者が適齢に達すると取消すことができなくなります。ただし、適齢となった後に追認しなければ、適齢後3ヶ月は取消しの訴えを提起できます。

≫婚姻の取消し待婚期間違反の婚姻
婚姻の取消し事由としては、不適齢者、重婚、近親者、待婚期間中の婚姻及び詐欺又は強迫による婚姻が規定されています。待婚期間違反の婚姻は、前の婚姻の解消又は取消しの日から6ヶ月を経過し、又は女性が再婚の後に懐胎した時は、取消すことができなくなります。

≫婚姻の取消し重婚
婚姻の取消し事由としては、不適齢者、重婚、近親者、待婚期間中の婚姻及び詐欺又は強迫による婚姻が規定されています。重婚は、前の婚姻の配偶者が死亡し、または離婚によって重婚が解消された後は、取消せないと解されています。

≫婚姻の取消し詐欺又は強迫による婚姻
婚姻の取消し事由としては、不適齢者、重婚、近親者、待婚期間中の婚姻及び詐欺又は強迫による婚姻が規定されています。詐欺又は強迫を受けたものが、詐欺であることを発見し、又は強迫の状態から免れた後、3ヶ月を経過した場合、又は婚姻を追認した時は取消すことはできません。

≫婚姻の取消しの効果
婚姻の取消し事由としては、不適齢者、重婚、近親者、待婚期間中の婚姻及び詐欺又は強迫による婚姻が規定されています。婚姻の取消しの効果は、遡及しません。したがって、取消した男女間に生まれた子が取得している嫡出子たる身分は、取消しによって影響を受けません。婚姻は取消しの時から将来に向かって解消されます。

≫婚姻の効果
婚姻が成立すると、夫婦は同一の氏を名乗ります。そして互いに同居・協力・扶助する義務を負います。また未成年者は婚姻によって成年者としての能力を取得します。

≫夫婦の氏
夫婦は、婚姻をする時に夫婦のどちらかの氏を名乗るかを決めなければなりません。その氏は、第三者の氏を選ぶことは、当然できません。また、夫婦がそれぞれの別の氏を名乗ることも許されません。例えば、婚姻しようとする者同士氏が同じであっても、どちらかの氏を選ばなければなりません。

≫成年擬制
成年擬制とは、未成年者が婚姻した時に、成年者に達したものとみなされることをいいます。成年に達したものとみなされるので、親の親権は終了し、親権者の同意無しに法律行為をすることができるようになります。一度、成年擬制がなされると、後に婚姻が解消されても、その効果は消滅しないと解されています。

≫同居義務
夫婦は、精神的、肉体的、経済的な終生の共同体であり、同居し、互いに協力し、扶助しあう義務があります。同居とは、夫婦としての同居を意味します。夫婦が同居する場所は、協議によって決めることになります。協議が調わない時には、家庭裁判所の調停又は審判を求めることができます。また、正当な理由なく同居しない時は、悪意の遺棄として離婚事由になります。

≫扶助義務
夫婦は、精神的、肉体的、経済的な終生の共同体であり、同居し、互いに協力し、扶助しあう義務があります。扶助義務とは、未成年の子を含む共同生活に必要な衣食住の資材を供与し合う義務をいいます。これとは別に婚姻費用の分担に関する規定があり、これは扶助義務を前提として、その費用をいかに負担するかということをいっています。

・夫婦・離婚

夫婦間の契約取消権・夫婦間の権利の時効・夫婦財産制・夫婦財産契約・婚姻費用の分担・日常家事債務の連帯責任・離婚・離婚届・離婚の無効・離婚届の不受理申立・離婚の取消し・離婚の方法・協議離婚・調停離婚・審判離婚・判決離婚・離婚原因・不貞行為・悪意の遺棄・三年以上の生死不明・回復の見込みのない強度の精神病・婚姻を継続しがたい重大な事由・未成年の子の親権・離婚による復氏・財産分与の請求権・財産分与の対象となる財産・財産分与の請求の方法・財産分与請求の請求期間・慰謝料・離婚の扶養・保全処分・親権・監護権・子の引き取り・直接強制・間接強制・面接交渉権・子の氏・子の氏の変更

≫夫婦間の契約取消権
夫婦間の契約は、婚姻期間中はいつでも夫婦の一方からこれを取消すことができるとされています。要するに夫婦間の契約に関しては、なんらの理由もなく、取消すことができるとされているのです。この規定の適用範囲についても、法律上なんら制限がなく、契約の履行が終わった場合にも適用されるのです。ただし、第三者の権利を害することはできません。

≫夫婦間の権利の時効
夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚約解消の時から6ヶ月間は、時効は完成しません。この権利の種類については、制限がなく、婚姻前からの権利であってもよいとされています。これは、取得時効にも、消滅時効にも適用されます。

≫夫婦財産制
夫婦が婚姻前又は婚姻後に取得した財産をどちらのものにし、その財産の管理をどちらがするかについての規定を夫婦財産制といいます。民法では、原則として夫婦別産制を採用しており、夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中に自らその名で得た財産は、特有財産とする旨規定されています。また、夫婦のいづれのものか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定されます。

≫夫婦財産契約
夫婦財産契約とは、婚姻しようとする者が、婚姻後の財産の帰属・管理等について合意で定めることをいいます。この契約は、婚姻前に締結しなければなりません。これを夫婦の相続人や第三者に対抗する為には、婚姻届の提出前に夫婦財産契約の登記をしなければなりません。この登記は、不動産の登記簿とは別個の夫婦財産契約登記簿に登載されます。

≫婚姻費用の分担
婚姻から生ずる費用は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、夫婦が分担することとされています。婚姻費用を負担すべき者は、他方に対して、生活を保持するのに必要な費用を与えなければなりません。この規定に違反して、分担金を支払わないものに対しては、相手方は家庭裁判所に分担の審判・調停の申立をすることができます。

≫日常家事債務の連帯責任
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と取引をし、これによって債務を負担した時は、夫婦は連帯して責任を負うこととされています。日常の家事とは、夫婦の共同生活に必要な一切の事項をいい、生活必需品の購入、近所との交際、子の教育、医療などのことをいいます。

≫離婚
離婚とは、終生にわたる結合体として成立した婚姻を、婚姻後に生じた理由によって解消することをいいます。民法では、離婚制度を規定し、当事者の合意のない裁判上の離婚の場合には、一定の離婚原因を挙げて、これに該当する場合のみ、離婚を認めるという立場をとっています。

≫離婚届
協議離婚が成立する為には、離婚届を市町村役場の戸籍係に提出して受理してもらう必要があります。夫婦が協議離婚をする場合には、当事者間に離婚の合意があればよく、なんらの原因を問われるものではありません。

≫離婚の無効
協議離婚において、離婚が無効とされるのは、離婚届が受理されたが離婚の意思を欠く場合になります。例えば◆当事者の知らない間に離婚届が提出された場合◆離婚する意思で離婚届を作成したが、その後にその意思がなくなったにもかかわらず、届出がされた場合 などがあります。

≫離婚届の不受理申立
無効な離婚届が受理されるのを未然に防止する手段として、離婚届を受理しないで欲しいという書面を役所の戸籍係に提出する離婚届の不受理申立という制度があります。この不受理申出書は、申し出の時から6ヶ月間は、離婚届の受付は防げますが6ヶ月を経過すると効果はなくなります。

≫離婚の取消し
詐欺又は強迫によって協議離婚をした者は、その離婚を取消すことができます。離婚の取消しの効果は、離婚届の時に遡及します。また、詐欺を発見し、又は強迫を免れた後3ヶ月を経過し、又は追認した時には、取消権は消滅します。

≫離婚の方法
離婚の方法は、任意で離婚する場合と裁判上で離婚する場合に分けられます。当事者の合意で離婚する方法が協議離婚です。裁判所が関与して行われる裁判上の離婚には、調停離婚、審判離婚、判決離婚があります。

≫協議離婚
当事者の協議によって、互いに離婚の合意をするものを協議離婚といいます。協議離婚は、離婚届の提出・受理によって効力が生じます。当事者双方は、離婚届に署名捺印し、成年2人以上の証人に署名捺印してもらって、役場の戸籍係に提出することになります。未成年の子がいる場合には、親権者も決め、記載しなければなりません。

≫調停離婚
当事者間で離婚の協議が調わない時は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。それは、調停前置主義が採用されているからです。調停では、調停委員が間に入って話し合いが行われ、もしここで離婚の合意が成立した場合には、調停証書に記載され、調停離婚が成立します。

≫審判離婚
調停で離婚の合意に至らなかった場合に、離婚を適当と認める場合には、家庭裁判所は、当事者の申し立ての趣旨に反しない限りにおいて離婚の審判をすることができます。審判に対して不服のある者は、2週間以内に家庭裁判所に異議の申し立てをすることができます。異議申し立てがあったときに、その審判は効力を失うことになります。

≫判決離婚
調停離婚で合意にいたらず、成立しなかった時、又は審判離婚に対して異議申し立てがあったときは、家庭裁判所に離婚の訴えをすることになります。離婚の訴えについては、民法の定める離婚原因の有無を審理し、離婚が相当であると認められる場合には、裁判所は離婚の判決を言い渡すことになります。

≫離婚原因
裁判上の離婚の場合には、法律で定められた離婚原因があることが必要になります。民法では、離婚原因として◆不貞な行為◆悪意の遺棄◆3年以上の生死不明◆回復しがたい強度の精神病◆婚姻を継続しがたい重大な事由 を挙げています。前記の4つを具体的な離婚原因、後記を抽象的離婚原因といいます。

≫不貞行為
不貞行為の意義については、2つの考え方があります。1つは、一夫一婦制の貞操義務に忠実でない一切の行為を含み、性的交渉よりも広い概念であるという考え方と、もう一つは配偶者以外の者と性交関係を結ぶ行為に限るという考え方です。ただ、どちらの場合にしても、婚姻を継続しがたい重大な事由として離婚が認められる場合もあります。

≫悪意の遺棄
この場合の悪意とは、夫婦共同生活を維持することができなくなることを知っていて、それを企図し、又はそれでもよいという意思があることをいいます。遺棄とは、夫婦の同居・扶助義務に違反することをいいます。

≫三年以上の生死不明
生存の証明も死亡の証明もできない場合を生死不明といい、ある程度の生死が推定される場合には、生死不明とはいいません。三年の起算点となるのは、通常の場合は最後に音信があったときのことをいいます。
≫回復の見込みのない強度の精神病
強度の精神病とは、夫婦の協力扶助の義務を維持継続するに耐えない程度の精神障害をいいます。最高裁判所では、精神病者の今後の療養、生活等についてできる限り具体的方策を講じ、ある程度において、前途にその見込みがついた上でなければ離婚請求を認めるべきではないとの見解を示しています。

≫婚姻を継続しがたい重大な事由
婚姻を継続しがたい重大な事由とは、抽象的な離婚事由であり、夫婦関係が破綻して、その復元の見込みがないことを意味します。これは、個々の具体的事情を総合して、裁判官が判断することになります。例えば、単なる性格の不一致では足りないが、夫婦の妥協しがたい性格の相違から、けんかが絶えず、婚姻が破綻した事例などがあります。

≫未成年の子の親権
婚姻中は、未成年の子の親権は父母双方にあり、共同で親権を行使しますが、離婚にあたってはその一方を親権者に定めなければなりません。協議離婚の場合には、離婚届にその子の親権者をどちらかにするかを記載しなければなりません。

≫離婚による復氏
婚姻によって氏を改めた者は、離婚によって婚姻前の氏に復します。しかし、子の養育等の諸事情によって、離婚の際に称していた氏を称することもできます。これは離婚の日から3ヶ月以内に届出によってすることができます。

≫財産分与の請求権
離婚した一方の者は、相手方に財産分与を請求できます。財産分与請求権の性質としては、夫婦共同生活中の共有財産の清算が中心的で、離婚後の扶養の要素も含まれていると解されています。

≫財産分与の対象となる財産
婚姻中に蓄積された財産で、その名義が夫名義でも妻名義でも実質的には共有財産とみなされ、財産分与の対象となります。ただし、夫婦の一方が婚姻前から有する財産や相続によって取得した財産については、対象となりません。

≫財産分与の請求の方法
財産分与の精算の方法は、当事者間の協議によって決めることになります。協議が調わない時は、家庭裁判所の調停を申し立てることになります。調停でも調わない時には、家庭裁判所の審判で定めることになります。審判をするにあたっての考え方は、妻が専業主婦で収入がない場合でも、家事労働によって財産形成に貢献したと評価します。

≫財産分与請求の請求期間
離婚した一方の者は、相手方に財産分与を請求できます。財産分与請求権の性質としては、夫婦共同生活中の共有財産の清算が中心的で、離婚後の扶養の要素も含まれていると解されています。財産分与請求の請求期間は、離婚の時から2年を経過した時には、請求できなくなります。

≫慰謝料
精神的苦痛を賠償するものを慰謝料といいます。離婚について有責な配偶者は、相手方が被った全損害を賠償しなければなりません。有責配偶者は、慰謝料のみならず、相手方に財産的損害を被らせた場合には、これについても賠償の義務があります。

≫離婚の扶養
夫婦共有の財産を精算し、損害の賠償をさせても、夫婦の一方が離婚後の生活に困る場合の扶養義務については考え方が分かれています。離婚後には扶養義務がないという考え方と、家庭に入っていた妻が再就職するのは難しいことから、このような妻を夫に扶養させるのが妥当であるとの考え方があります。

≫保全処分
慰謝料請求権や財産分与請求権を被保全権利として、その配偶者の名義の財産に対し、保全処分の申立をすることができます。それは、相手方の配偶者が財産の浪費・隠匿をして、財産分与するべき財産が減少する恐れのあるとき、調停や審判を待っていては、実際上財産的給付を受けられなくなる場合があるためです。

≫親権
父母の婚姻中は、未成年の子に対する親権は、父母が共同で行使します。しかし、離婚をするにあたっては、協議によってどちらか一方を親権者と定めなければなりません。協議が調わない時には、裁判所が親権者を定めることになります。子の出生前に離婚した場合には、母が親権を行います。子の出生後には、協議によって父を親権者と定めることができます。

≫監護権
離婚に際し、子の監護権者を定めることができます。監護権者を特に定めなかった場合には、親権者が子の財産の管理及び監護教育を行います。離婚に際し、親権者のほかに監護権者を定めた場合には、監護権者が親権者に優先して子の引き取り請求権を行使することができます。

≫子の引き取り
親権者又は監護権者は、子を監護教育する権利義務を有します。したがって、子に危害を加える恐れのある者から子を引き取る権利を有しており、相手がこの引き取り請求権に応じない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立ができます。

≫直接強制
親権者又は監護権者は、子を監護教育する権利義務を有します。したがって、子に危害を加える恐れのある者から子を引き取る権利を有しており、相手がこの引き取り請求権に応じない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立ができます。裁判所で引き渡し請求が認められたにも関わらず、相手が応じない場合には、裁判所が子を相手方から取り上げて親権者に引き渡す直接強制をすることができる場合があります。
≫間接強制
親権者又は監護権者は、子を監護教育する権利義務を有します。したがって、子に危害を加える恐れのある者から子を引き取る権利を有しており、相手がこの引き取り請求権に応じない場合には、家庭裁判所に調停又は審判の申立ができます。裁判所で引き渡し請求が認められたにも関わらず、相手が応じない場合には、裁判所が「●●日以内に引き渡さない場合には、1日について金●●円支払え」と請求する間接強制をすることができる場合があります。

≫面接交渉権
面接交渉権とは、離婚の際に親権者あるいは監護権者にならなかった親に未成年の子と面接する権利を与えるものです。これについては民法に規定はなく、これを否定する裁判例もありますが、一般的には面接交渉権は認められています。

≫子の氏
子の氏は、父母が婚姻中には父母が婚姻で称している氏を名乗りますが、子の出生前に父母が離婚した場合は、子は父母が離婚の際に称していた氏を称するとされています。婚姻中、父の氏を称していた場合に、離婚した場合には、子は父の氏を称し、父の戸籍のままになります。

≫子の氏の変更
父母が離婚して、父又は母の氏と子の氏が異なることになった場合には、子は家庭裁判所の許可を得て、父又は母の氏を称することができます。子が15歳未満である時は、子の氏の変更はその法定代理人が代わって行います。また、未成年のときに氏の変更をした場合には、子が成年に達した後1年以内に、従前の氏に復氏することができます。

・裁判用語

原告 訴えを起こしたもの
被告 訴えを起こされたもの

訴状(そじょう)
訴状は、裁判所に民事訴訟を提起するに当たって原告が裁判所に提出する、訴えの内容について述べた文書をいう。民事訴訟手続において、争いのある訴訟物を特定して、裁判所に判断を求めるために原告本人または訴訟代理人が作成、提出する書面のことを指す。
裁判所宛の正本に加え、相手方となる被告の人数分の副本を添付する必要がある。訴状提出の際に、民事訴訟費用等に関する法律所定の手数料を収入印紙で納付し、訴訟費用の概算額の郵便切手を予納する。

答弁書(とうべんしょ)
答弁書とは、民事訴訟において、訴状記載の請求の趣旨に対する答弁や訴状記載の事実に対する認否を記載した書面であす。

準備書面(じゅんびしょめん)
準備書面とは、民事訴訟において、口頭弁論での主張の準備のために、自らの攻撃又は防御の方法(自らの積極的な主張)並びに相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述(答弁、認否、反論等)を記載した書面です。

訴状の送達
訴訟提起後裁判所から被告に対し訴状の副本や期日の呼出状が送達されます。この場合、相手の居住地が分からない場合、勤務先に送達することも出来ます。また居住地、勤務先が不明で送達できなかった場合、公示送達(こうじそうたつ)の手続きにより送達します。 
※公示送達の手続きをする場合、原告の調査として調査報告書が必要となります。

つづく













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